「食×テクノロジー」専門のスタートアップ支援も続々誕生

 中国では食品の安全性を担保するためのテクノロジー活用が増えているということでしたが、それに伴ってAgri・FoodTech関連のインキュベーター、アクセラレーターも増えているようです。食の安全性、廃棄物の減少、農業の持続可能性などについて、さまざまなアプローチで問題解決に取り組む起業家を支援する動きがどうなっているのか、詳しく見ていきましょう。

小田:象徴的な会社として有名なのは、Bits x Bites(ビッツ・アンド・バイツ)です。同社は中国で初のAgri・FoodTechに特化したベンチャーキャピタル(以下、VC)兼アクセラレーターで、海外の優れたAgri・FoodTech企業を中国に持ってきて、現地化をサポートするのを得意としていました。

 ただ、最近は中国国内で生まれた企業のアクセラレーターとしても名を上げています。具体的には、同社の投資先が持つ販売網を利用して成長を支援しており、FoodTechのみならずAgriTechやサプライチェーン関連の事業を促進しています。

 例えば中国では、サプリメントなどの健康食品を摂ったり、サラダをメイン料理として食べる習慣がないんですね。そこで、野菜をジュースにして1日に必要とされる栄養素を摂取できるような製品を開発するスタートアップが出てくるわけですが、Bits x Bitesはこういう製品のアイディエーション(開発コンセプトの設計)から支援をしています。

Bits x BitesのWebサイト

 Bits x BitesのInvestment Partner(投資責任者)Joseph Zhouが、Webメディア『TechNode』にインタビューされた記事を読むと、「食品に関して最も重要なことは美味しく仕上げること」「新しいアイデアを持ってアプローチして来る人には、最初に『それは美味しいですか? 味見させてもらえますか?』と質問します。それから、生産、調達、安全性の話をします」とのことです。この発言からも、マーケットでは高品質で安全性の高い食品が求められていることが分かると思います。

 また、このBits x Bites出身のEric Sunらが上海で立ち上げたインキュベーターのYEAST.(イースト)は、食を含めたライフスタイルの改善を目的に起業・商品開発する人たちを支援する次世代研究開発ラボを始めています。彼らは「キッチンテック」と呼ばれる分野にフォーカスしており、一般家庭やレストランのキッチンにイノベーションをもたらすアイデアを育成しています。

 さらにもう一つ、ニュージーランドの乳業会社Fonterra(フォンテラ)出身のメンバーが立ち上げたインキュベーターのHatchery(ハッチェリー)は、ミレニアル世代の若い人たちや独身の人向けに新しい飲食コンセプトを提案するスタートアップをサポートするプラットフォームを運営しています。

シバタ:各社、さまざまな切り口でAgri・FoodTechの普及を支援しているのですね。