規制が強まる仮想通貨市場の今後

 次は仮想通貨のトレンドを見ていきましょう。世界的な潮流と課題については、冒頭で吉川絵美氏が詳細に説明してくれましたが、中国ではまた毛色の違った課題が市場に影響を与えているようです。

シバタ:中国の仮想通貨を語る上で忘れてはいけないのが、2017年9月に中国国内でのICO(Initial Coin Offering=仮想通貨技術を使った資金調達)および仮想通貨取引所が全面禁止になったというニュースです。中国人民銀行を筆頭とする省庁を横断する委員会の決定とのことですが、これは中国政府が介入したという認識で合っていますか?

中国人民銀行のWebページには、「ICOの約90%は違法な資金調達か詐欺であり、実態があるICOは全体の1%にも満たない」との声明が載った

絵美:そうですね。これが起こった時にリアルタイムでマーケットを見ていたのですが、まさに波乱の様相でした。特に取引所が禁止になるかどうかという点に関して、政府が情報を小出しにしていて。それをメディアが大げさに書き立てて、市場関係者がザワザワしている時期が1~2カ月続きましたね。

 その後、最終的には全面禁止となったわけですが、やはり背景には「まだ成熟していない業界をそのままにしておくと、詐欺が横行して金融の秩序を乱す」という考えがあったようです。ただし、中国政府は基礎となるブロックチェーンの技術開発には非常に協力的で、公にこの分野に力を入れていくとも発表しています。

シバタ:確かに、中国ではBitmain(ビットイン)やCanaan(カナン)といったマイニング関連のスタートアップが大きな資金調達に成功していますね。

絵美:ええ。でも、マイニングについても、これから規制が入って来ると言われています。

 中国というのは、中央政府が大方針を決めて、実際に実行するのは地方政府なんですね。どういうふうに大方針を解釈するかも、ある程度地方政府に委ねられている部分があります。要は中央政府の大方針を実行するタイミングや、そのやり方がバラバラになりがちなのです。それでも最近は、中央政府のお達しでマイニング関連のスタートアップがどんどん駆逐されている。

 例えば、Bitmainなどもモンゴルにマイニングファームを作ったりとか、欧米に進出するなど、国内では駆逐され始めている状況です。

シバタ:知りませんでした。中国の地方都市は電気代も安いですし、マイニング関連は伸びていくのかと思っていました。

絵美:隠れてやっているところはまだまだあるでしょうが、これもいずれ中央政府による規制で地方政府に指示が行くと思います。

シバタ:仮想通貨やブロックチェーン関連のニュースサイト米CoinDeskが調査した「State of Blockchain 2018」によると、世界の通貨別Bitcoin取引量の推移では、2014年~2016年くらいは中国元が大きな割合を占めていました。それが2017年を境に急減し、対して日本円が伸びています。このデータも、これまで説明していただいたお話が影響しているという理解でいいのでしょうか?

絵美:人民元のトレードがすごく多かったというのは、いくつか理由があって、1つはトップ三大取引所のHuobi(フオビ)、BTCC、OKCoin(オーケーコイン)がほとんどトレーディングフィーをゼロにしていたんですね。信用取引で儲けるような仕組みにしていたので、自然と取引量が多くなっていたのです。また、取引量データの水増しが横行していたとも言われています。

 とはいえ、2014年くらいにMt.GOX(マウントゴックス)事件が起きてUSドルでの取引量がガクンと下り、その後、中国元が90%以上を占めていたところに政府の取り締まりが入って急減した、という大枠の流れは間違いないです。

シバタ:中国の仮想通貨・ブロックチェーンのマーケットは、今後の先が読めないというのが正しい見方のようですね。