なぜAppleやソフトバンクが!? 次世代モビリティの注目企業

 ここからは、シリコンバレーにおける次世代モビリティ分野の最先端事例を紹介していきます。

 この分野は、大きく【1. コネクテッド】【2. 自動運転】【3. シェアリング&サービス】【4. ニュービークル】の4つに分類することができます。今回は、この4ジャンルで我々が注目している企業をいくつかピックアップしてみました。

【1. コネクテッド】

■ KeepTruckin

 KeepTruckinは運送会社向けのサービスで、同社が提供するWeb上のダッシュボード(複数の情報源からデータを集め、見やすく一覧表示する機能)を通じてリアルタイムにトラックの場所や空車情報、運行安全記録などをチェックできるようになっています。2018年3月には$50 Million(約50億円)の資金調達に成功。運送用トラックの効率的な運用・管理はどの国でも課題になっているので、日本でも類似サービスが普及する可能性があると見ています(吉川)。

【2. 自動運転】

■ Tesla

 EVのリーディング・カンパニーとして日本でも知られた存在となっているTeslaは、初の「完全自動運転」を可能にする新ソフトウェアを2018年8月に配布すると発表しています。ただ、この分野ではどの企業も人間の運転と自動運転機能を併用した「半自動運転」しか実現できておらず、CEOであるイーロン・マスクの大言壮語をどこまで形にできるのか要注目です(シバタ)。

■ Apple

 自動運転は、前述のGM&Cruise AutomationやGoogleの自動運転会社Waymo、上記したTeslaなどが着々と実証実験を進めています。ただ、米のWebメディアTechCrunchの報道によると、Appleも意外な動きをしているのだそうです。

 シリコンバレーのあるカルフォルニア州では、公道で自動運転車のテストをするのに、走らせる台数を州に登録しなければなりません。この「登録台数」で、2018年6月時点の第1位となっているのは、GM&Cruise Automationの104台。3位はWaymoの51台、4位はTeslaの39台です。日本のトヨタも、11台で6位に入っています。

 あえて2位を飛ばしたのは、ここに入っているのが、55台を登録しているAppleだからです。少なくとも我々は、今までAppleの自動運転車が公道を走っているところを一度も見たことがありません。これからAppleも自動運転車の開発競争に加わるのか、それとも「とりあえず登録しただけ」で実用化する考えはないのか、動向が気になるところです(シバタ)。

【3. シェアリング&サービス】

■ ソフトバンク

 ソフトバンク自体はライドシェアサービスを展開していませんが、実は北米ではUberとLyftに、東南アジアではGrab(グラブ)、インドではOla(オーラ)など、世界中のライドシェア大手に出資しています。

 Uberが日本や他国での展開に苦戦しているのを見ても分かるように、ライドシェアサービスは各地域でそれぞれの企業が成長していくと見られています。それを予測して、シリコンバレー以外の地域でも張りまくっているのはすごいのひと言。前述のように、ソフトバンクはCruise Automationにも出資しているので、この分野で注目企業の一つと言えるでしょう(吉川)。

■ Bird(バード)、Lime(ライム)

 両社はサンフランシスコ市内を中心に電動スクーターのシェアリングサービスを展開しているスタートアップで、短期間で$200 Million(約200億円)を超える資金調達に成功しています。

 サンフランシスコでは、2018年に入って一気に電動スクーターの姿を見かける機会が増えました。シェアサービスなので、専用の駐車場もたくさんできています。ただし、スクーターが壊れたり、転倒する人が続出するなど、安全性が問題になって2018年6月に許可制となったことから一斉撤去。現在は市の許可を得るために対応中だそうで、道路に乗り捨てできる業者は5社に絞られる予定です(吉川)。

Birdの電動スクーター。開発は中国メーカーのXiaomiが行っている

【4. ニュービークル】

■ Kitty Hawk(キティ・ホーク)

 Google共同創業者のラリー・ペイジが支援していることで知られる、軽量飛行機メーカーです。1人乗りドローンの「Flyer」や、空飛ぶタクシー飛行機「Cora」を開発しており、「Flyer」はまだ20分しか飛べないもののプリオーダーを開始しています。下の動画を見ていただけると、新時代の乗り物感を味わえると思います。

Kitty HawkのWebページにある「Flyer」と「Cora」の写真。動画は以下URL( https://www.youtube.com/watch?v=UzZJ-HxvLLI )

 ちなみに、ドローン開発ではUberも2020年をメドにビルの屋上を発着台にした空飛ぶタクシーを運行するという構想を発表するなど、興味深い取り組みが少しずつ生まれています(吉川)。

Uberの空飛ぶタクシーと、屋上駐車場「Uber Sky Tower」の構想イメージ。動画は以下URL( https://www.youtube.com/watch?v=JuWOUEFB_IQ )

■ The Boring Company(ザ・ボウリング・カンパニー)

 これはTeslaのCEOイーロン・マスクがやっている別会社で、地下にトンネルを掘って「地下交通網」と「最高時速150マイル(約240km)で走行する電気駆動の乗り物」をセットで開発していくというプロジェクトを進めています。

 SFチックな取り組みのように聞こえますが、近々シカゴ空港からダウンタウンまでの間で実証実験を始めるという報道もあります。実用化はまだまだ先でしょうが、ドローン同様にこちらも未来を感じさせる取り組みです(吉川)。