100億円規模の巨額調達も続々。注目のスタートアップ

 ここまで、AI開発における中国全体の動向と、大手企業の取り組みを紹介してきましたが、次は世界的に注目されている中国のAIスタートアップをいくつか紹介していきます。

 AIのジャンルは、大きく【1. 認識AI】【2. インターネットAI】【3. ビジネスAI】の3つに分類できます(「テクノロジーの地政学」で別回のテーマにしている、自動運転・ロボットなどを含む「自動AI」は除きます)。

 ここでは、この3ジャンルで我々が注目している企業をいくつかピックアップしていきましょう。

【1.認識AI】

■ SenseTime(センスタイム)

 2014年創業で、2018年4月にAlibaba Groupがリードする資金調達で$600 Million(約600億円)を獲得したAI画像認証プラットフォーム企業です。ユーザーは世界中に広まりつつあり、日本でも自動車メーカーのホンダと共同開発契約を結んでいます(石黒氏)。

■ Megvii Technology(メグビー・テクノロジー)

 2011年創業で、顔認証技術のオープンプラットフォーム「Face++」を運営するスタートアップです。「Face++」の技術を使い、何らかの形で顔認証されたユーザー数は全世界で1億人を超えており、顔認証の分野では世界屈指という呼び声があります。
   前述した「ResNet」の開発主要メンバーのうち、Xiangyu ZhangとJian Sunが移籍した会社でもあり、2015年にAlibaba Groupと提携したのを機に急成長しています(吉川)。

【2. インターネットAI】

■ Bytedance(バイトダンス)

 日本のニュースアプリ「SmartNews」「グノシー」などの中国版とも言うべき「Toutiao」を運営しているのがBytedanceです。中国ナンバーワンのニュースアプリというだけあって、スケールは桁違いに大きいです。

 「Toutiao」はユーザーデータや閲覧習慣に基づいて記事や動画を提供しており、月間アクティブユーザーで2億超、2017年の広告収入は$2.5 Billion(2500億円)に達しています。同社は他にも、日本の若者の間で流行している動画ソーシャルアプリ「Tik Tok」や、世界展開する動画視聴アプリ「TopBuzz Video」などを運営しています(吉川)。

【ビジネスAI】

■ Yi+(イープラス)

 ビジネスAIサービスを提供する中国のスタートアップは、(今のところ)世界的に見て意外と存在感がありません。これは、BtoB分野ではまだまだ欧米企業が強いことが一因だと思われます。また、中国は他のビジネス領域でのAI活用が非常に盛り上がっていることも影響しているでしょう。

 とはいえ、ここで紹介するYi+は、機械学習を用いてユーザーに適したコンテンツを届けるコンテンツマーケティングのプラットフォーム「Yi+AI」を展開するスタートアップで、合計の資金調達額が$25 Million(約25億円)となっています。Alibaba Groupも出資している要注目企業です(吉川)。