孫正義氏も投資を即決。注目の新興企業

 ここまで一通り全体概要を話してきましたが、次はAI関連ビジネスの具体的な事例をいくつか紹介していきます。

 AIのジャンルは、大きく【1. 認識AI】【2. インターネットAI】【3. ビジネスAI】の3つに分類できます(「テクノロジーの地政学」で別回のテーマにしている、自動運転・ロボットなどを含む「自動AI」は除きます)。ここでは、この3ジャンルで我々が注目しているサービス・企業をいくつかピックアップしていきます。

【1. 認識AI】

■ SoundHound(サウンドハウンド)

 音楽の鼻歌検索サービスから始まり、近年は音声認識AIのプラットフォーム「Houndify」を開始して一気に注目株となった会社です。すでに米のグルメ検索大手のYelpやライドシェアのUber、旅行サービスのExpediaなど、さまざまな企業が利用しており、多様な情報が集まるプラットフォームになっています。

 その他、自動車メーカーやロボット開発企業などにも注目されており、日本の大企業も複数社が出資しています。Google、Amazon、Facebook、Microsoftといった大企業の色が付いていないAIサービスを使いたいというニーズに応える企業として、今後より注目されるでしょう(吉川)。

【2. インターネットAI】

■ Freenome(フリーノーム)

 インターネットAIは、これまで紹介してきたGoogleや、Facebookなどの有名サービスがたくさん出ているので、ここでは今後増えてきそうなヘルスケア分野の注目企業を一つ紹介します。

 Freenomeは2015年に設立されたスタートアップで、AIを使って血液サンプルのDNA解析を行い、ガンの早期発見を目指しています。2017~2018年に自社内および提携研究機関で最大1万件の血液生検を実施する予定で、著名な投資家であるアンドリーセン・ホロウィッツが投資していることでも知られています(吉川)。

【3. ビジネスAI】

■ Cylance(サイランス)

 ビジネスAIの分野では、セールス・マーケからCS、HR(採用・人事)、オペレーションと、さまざまな業務を実際に代替しつつありますが、ここではセキュリティ分野の注目企業を紹介します。

 Cylanceはセキュリティソフトを提供するMcAfeeのCTOによって2012年に設立された会社です。AIが作成したデータモデルを元に、ファイルの構造からサイバー攻撃を予測、従来型のブラックリストモデルではない形で圧倒的な検知率を実現するエンドポイント製品を提供しています。

 同社はAIによるサイバーセキュリティ対策の分野で初のユニコーン(企業の評価額が$1 Billion=約1000億円以上で非上場のベンチャー企業を指す言葉)となっており、圧倒的な量の継続的分析は人間には不可能であることから「AIが人間を超えていることを立証した事例」でもあります(前田)。

■ Nauto(ノート)

 日本の自動車メーカーも注目している自動運転領域における注目スタートアップで、カメラで運転中のドライバーの様子や周辺の状況を追い、クラウド上のAIで危険度をリアルタイムに分析するというシステムを提供しています。

 今後「自動運転の頭脳」に進化し得るシステムを開発する同社には、ソフトバンク・ビジョン・ファンドを立ち上げた孫正義さんが東京・汐留に呼んで話を聞き、その場でナプキンに投資額を書いて渡したという逸話もあるくらい注目が集まっています(前田)。