逆境を楽しむ力をつける

三つ目はいかがでしょうか?

:逆境時の考え方です。いまでも記憶にあるのは、監督は、大差で試合に勝っているときのほうが、ハーフタイムの時間、ちょっと厳しくなり、逆に、クロスゲームのときは、監督自身も笑っています。僕らを笑顔にしてくれるような言葉を発せられて、「こういう時に人は成長するんだ、これを楽しまないと損だぞ」と言われたことを覚えています。

岩出:余裕のあるゲームほど厳しめにしないと、そのままのノリでいってしまうとケガにつながります。精神面で痛い目にあうのはいいんですが、ケガにつながる雑なプレーや強引なプレーによって、自身や味方のケガにつながることは避けてほしいので、ハーフタイムに引き締めることが多かったですね。そういう意味ではラグビーは、厳しい相手であろうが、楽な相手であろうが、ちょっとした油断がケガを招く怖い競技ですよ。

:去年、トップリーグでトヨタ自動車さんに後半13分で18点差をつけられたことがありました。相手にトライされたときに円陣を組んだのですが、ちょっと諦めかけている雰囲気を感じました。そのときに、監督から学んだ「逆境時のリーダーシップ」が生かされたと思います。

 僕自身は、点差と時間、それまでの試合展開を見て、次にこちらが得点すれば勝機はあると信じていました。みんなをポジティブなマインドにして次に向かわせるために、キャプテンとしてどんな発言をしたらいいのかをすぐに考えました。「18点差をひっくり返せるだけの練習はしてきている。ここでネガティブになるのか、それともポジティブに行って練習の成果をすべて出すのか。次の得点をこちらが取れば絶対に勝機は来る。ポジティブで行こう!」。 

 それまで同じようなミスを繰り返していたので、そこだけ一つ指摘して、あとはポジティブな言葉をかけ、自分が考える戦略プランも伝えました。チームメンバーは、僕の言葉を信じてくれました。諦めかけていた雰囲気はなくなり、実際に試合でも1点差で勝ちきることができました。

岩出:キャプテンはまず自分自身を知っておかないといけない。そのうえでチームメンバーのマインドセット、コンディションの特徴を知っておく必要があります。真面目な子ほどネガティブに考えやすいし、陽気なやつは雰囲気を明るくもっていけるけれど急に落ち込んだりもする。いろんな特徴を把握し、どうしたら雰囲気を変えることができるか、本番までにいろいろ試し、さまざまな体験をしておくことが大事です。