医療現場にどのような影響を与えるか

 それでは、AIによって糖尿病網膜症の診断ができるようになると、何が変わるのでしょうか?

 ここで、一般的な糖尿病網膜症の診断フローを振り返ってみましょう。

  • (1)患者が健康診断などで糖尿病の可能性を指摘される。
  • (2)糖尿病内科に受診し、精密検査を受け、糖尿病の診断を受ける。
  • (3)糖尿病内科から眼科受診を指示され、眼科で眼底検査を受ける。
  • (4)糖尿病内科と眼科を併診して、経過観察をする。
  • (健康診断で眼底写真が常備されていて、眼科医の診断がある場合は、この通りではありません)。

 このフローの中で、AIによる糖尿病網膜症診断ができるようになると、どこが変わるのでしょうか?

 私が想像する糖尿病網膜症のフローの変革は(2)にあると思います。

 例えば、AIによる糖尿病網膜症の診断機器が、健康診断に設置された場合と内科に設置された場合とを考えてみます。

 まず、健康診断でこの診断機器が常備されると、健康診断の時点で、眼科医がいなくとも糖尿病網膜症を見つけ出すことが可能になります。

 しかも、「内科には受診したものの、眼科には受診するのを忘れてしまった」という眼科未受診例を減らすこともできるのです。

 次に、糖尿病内科を受診した時点で、(2)から(3)のプロセスが効率化されます。

 糖尿病に罹患しても、必ずしも糖尿病網膜症を発症するわけではありません。この場合、眼科を受診して眼底に何も異常がなければ、経過観察になります。

 そこで、もし内科にAI診断の機器を設置することができれば、AIによって糖尿病網膜症の発症が確認された場合のみ、眼科に紹介するという方法が取れるようになります。