「誰に根回ししていいかもわからないので、まずは真正面から行こう、おとうふ業界の皆が集まる公式の場であたってみよう! と思ったんです。結果……皆さんを不愉快にしてしまいました。返ってくる声は『なんだ、相模屋は最終的におとうふ屋を買収して甘い汁を吸うつもりなのか?』とか『とうふを1丁10円で卸すならやってやるよ』とか散々で(苦笑)、清水さんにも『すみませんダメでした』と報告しました」

 それはそうだろう。いかに気持ちがあっても、一国一城の主たちを刺激する発言だったはずだ。鳥越の行動には、こういう「勇み足」がよくある。

勇み足が引き寄せた出会い

 だが、鳥越の試みは重要な出会いを引き寄せた。

 「私が清水さんと話せるようになった理由は、きっと単純です。何でもかっこつけずにドーンと話しちゃうから。その上で、波長が合ったんです。本気で話す時は、むしろ、遠慮会釈なんかいらない。すると清水社長も、次第に『(会社の)立派なクルマ乗るのニガテなんだよなぁ』などと胸襟を開いて下さるようになりました」

 嫌われることを恐れては、好かれもしない、ということだろうか。そして「ナチュラルとうふ」のヒットで、この出会いは一つの企業をつくり出すことになった。それが「だいずオリジン」だ。

 「不二製油さんの技術力と、弊社の商品力をもっと密接につなぎ合わせられないか、と話しているうち、合弁で会社をつくろう! という話になったのです」

 八方破れか、したたかな戦略家か。「おとうふ」の革新を図る鳥越の「出会い」をご一緒に見ていこう。