台風が空気を入れ換えるんでしょうか、不思議なもので、どこかではっきりと「あ、もう秋になったな」と感じますよね。さあ、この季節の今年のキーワードは、“香り松茸味しめじ”。「松茸と海老、秋鮭の秋天丼」です。

 で、さっそく裏話をしますと、もう、あまりにも毎年、松茸の値段が上がるんですよね。以前は松茸をスライスして揚げて丼にのせました。ですが今年は、昨年と同じようにご提供することが難しく、工夫を凝らしました。今回の天丼では、松茸を横断的にスライスして、かき揚げの中に入れて召し上がっていただきます。食べると、あの松茸の香りが、びやっときますよ。今年はしめじ、そしていかも一緒に入れて、味わい深く。まさに「香りの松茸も、味のしめじも」です。

 さらにさらに、今年の新しいタネは秋鮭。ほくほくしておいしくて秋らしい。これに、まいたけの天ぷらもお付けして、きのこ3つの天ぷらが味わえる、秋の王道天丼が出来上がりました。

 松茸のかき揚げにしたこともあり、これで香りがしないのではメニューに謳う意味が無い。「もっと増やせ! 他のタネが減ってもいい。お客様が『松茸はどこにはいっているの?』と言う、それだけはナシだ」と、開発陣にがんがんお願いしましたよ。ほら、茶碗蒸しで一生懸命銀杏を探すみたいな、ああいうのでは寂しい。「一口食べれば松茸が必ず香る。ああ、松茸を食べているなあと感じていただくのだ」と。ぜひ、この秋にお試し下さい。

 さて、前回お話しましたように、降格して東京に戻り、次は異動で焼き肉店の支配人…になったとたんに狂牛病騒動、なんとか切り抜けたかなと思ったら2005年12月、ロイヤルグループの専門店をまとめた、「ロイヤルカジュアルダイニング」という会社の社長をやれ、と言われたわけです。「降格の次はこれかあ」と、渋い顔をした(ように見えた)のか、「やりたいヤツはいくらでもいるんだぞ」と、当時のロイヤルホールディングスの社長に言われまして「はい、頑張らせていただきます」と(笑)。

キング・オブ・サラダバー、大人気なんです

 ロイヤルカジュアルダイニングの中でも、ひときわ独特の存在感があったのが「シズラー」です。1989年12月に、シズラーのフランチャイザー(以下、外食業界の言い方に倣って「ザー」と表記します)と契約して、わたしが着任した時は首都圏を中心に展開していました。

 実は、シズラーと私との間にはちょっとした縁があります。新宿三井ビルにあった、当時日本一の売り上げを上げていたロイヤルホストのお店を、シズラーが日本で開業する時に引き渡して1号店にしたんです。「日本の広告塔として、一番目立つところで」という社長命令で、泣く泣くカギを引き渡したのが、当時ロイヤルホストの関東営業部の部長としてこのお店を担当していたこの私。「社長に言われちゃしょうがないなあ」とぼやいていたんですが、回り回って「ああ、あの時ここをシズラーにしておいてよかった」と思うことになりました。

 シズラーは、「キング・オブ・サラダバー」を謳うレストランで、ロイヤルホストの文化で育った私から見ると、びっくりすることがいろいろありました。お店が首都圏に集中していて、しかも9店のみなので、「サラダバーくらい、今時どこにでもあるじゃないか」くらいに思われている方も多いと思いますので、思い出話から離れますが、現状をすこしお話しさせて下さい。

 まず、シズラーは売り上げが非常に高い。首都圏にあるとはいえ、月商が平均2000万円以上です。この数字がチェーンの平均としてどれくらいのものかと言いますと、普通のファミリーレストランは1000万円前後ですから、倍です。ロイヤルホストはファミリーレストランの中では売り上げが大きい方ですが、それでも2割増しくらい。シズラーはざっくり言うと、客単価2000円で月間1万人のお客様が来る、ということです。

 土日に行くとビックリします。怒濤のウェイティングです。アクアシティのお店はもちろんのこと、桜新町店、新宿三井ビル店などなど、どこでもです。この店での食事が目的のご来店なので、どなたもお帰りにならない。最初に見た時は本当に「今時、こんなに並ぶレストランがあるのか」と驚きましたが、状況は今も変わりません。