きっかけは降格人事でしたけれど、江頭ファウンダーは、実はこれ以前にも以後にも、けっこう、こういうことをやっているんです。「降格人事」を、人材を育てるためのひとつの究極の方法として考えていたんでしょう。だから容赦なく、徹底的にやる。その中から、這い上がってきた奴は次に行かせる。そうですね、3年に1回くらい、様々なやり方でふるいに掛けます。同じ職位の人間を全員同じ研修に行かせたり、役職を入れ替えたり。

 サラリーマン人生、降格というのはもちろん、いいことではない。奥さんに説明するのも辛い。避けたいことかもしれません。だけど、自分自身について言えば、大変なんだけど結果的には良かったなと思います。

 抜擢だって、嬉しいけれど案外、厳しい試練になるかもしれません。要は、地位の上下に一喜一憂したり、それを最大の目標にしないことです。若手の幹部を部長にする時には、必ず「上がったり下がったりして立場が変わると見えてくるものは変わる。それを知るのが一番大事。そこをおさえておけば、降格したとしてもまたそこから必ず良くなっていく。昇進や降格は、そのくらいのものだと僕は考えている」と話しています。

 あ、てんや(テンコーポレーション)では、わたしはまだ降格人事はしていませんよ。とにかく、「一回降格されたらもうおしまい」という烙印ではない。違ったものの見方ができるようになっていく、成長の機会だと。そういう共通認識ができないうちは、この手は使うべきではないでしょう。抜擢や降格で人を育てるというのは、組織のトップへの信頼がないと、会社がおかしくなる。誰でも彼でも、トップになったから権限が得られるというモノではないと思います。

逆境の時こそ、明るく元気に前向きに

 昔の自分の写真を見ますと、歯も見せないでぶすっとしています。

 でも、降格されて帰ってきて、「失意泰然」のなかで、とにかく、明るく元気に前向きに、空元気なんですけど(笑)、で、仕事や人と向き合っていたら、周りも明るくなって、腫れ物から仲間に戻れて、いい結果につながりました。そのうち、「明るく元気に前向きに」が、いつの間にか自分のキャラクターになっていったんですよね。

 ですので、40歳くらいまでの僕を知っている人と、それ以降だと若干違うかも知れない。え? 業務部長時代は怖がられていた? そうですか(笑)。

 人はいろいろな側面を持つのが大前提です。そのうえで、しんどいですが、逆境に居ても明るく前向きにやっていくと、人付き合い、上司、同僚、部下との間すべてでいい関係ができていくと思います。どんな境遇でも、ふてずに日々コツコツと全力投球してゆけば、必ず周りは見ていてくれるし、自分自身も一回り大きく成長出来る。それが「失意泰然」の、わたしのような凡人にとっての意味なんじゃないかと。今は、おかげさまでてんやは好調ですので、逆に気をつけねばなりません。「得意な時こそ淡然と」を自分にもみんなにも訴えています。

 どう頑張っても、必ず失敗は起こります。逆境、アクシデントは人生から取り除くことはできません。ならば、失敗も成功も、思いっきりかき混ぜて腹一杯になるまで味わってみる。そこに、思わぬ美味しさが見つかることもあるかもしれませんよね。「どんな境遇でも、元気に明るく、前向きにやれる自分って最高!!」と、ずうずうしく味わっちゃいませんか。

 おっと、偉そうに聞こえたらすみません。気持ちがへこんだら、まずは、腹を満たしてひと息つきましょう。