「いかん、いくらなんでもこれはまずい」と、さすがに新米店長も思い知りまして、2年目はちゃんと体制を整えました。比較すると、1年目の8月の「悲惨な」ときの売り上げは3300万円だったんですよ。それが2年目は、悲惨じゃないのに4000万円に。3年目は4280万円になったんですけど、そのときは、有休も出せるようになって、私は行きませんでしたが従業員のみんなは、錦江湾へウインドサーフィンに行ったりしてましたよ。

 お正月も、これはちょっと自慢話ですが、成田店、川崎店とかを全部抜いて、1週間の売り上げが全国のロイヤルホストで1番になったりしました。社内報で読んで「え、照國神社の最寄りのお店(城山店)が、成田山近くの成田店を抜いたの?」とびっくりしつつ、すごく嬉しかったですね。

 で、「いったい何をやったのか」と聞かれるんですが、やったことはとてもシンプルでした。従業員1人ひとりと面談して、ちゃんと話をして、それをベースに、オペレーションを回す準備、体制をしっかり整えたんです。参拝者数でいったら、城山店が成田店に敵うわけはないので、数字が出たと言うことは、店のオペレーションがうまく回った部分が大きい、といってもいいでしょう。

店とは、ロスタイムが生まれる場所である

 オペレーションが上手く回るとは、どういうことか。私は、ホール(客席)とキッチンのトータルで、席への案内から提供時間、バッシング(片付け)も含めて、ロスタイムがないことだ、と思います。味がよくて、くつろげて、満足してお店を出て「また来たい」と思っていただき、かつ、店として利益を上げる。そのための前提は、ロスタイムをとにかくゼロに近づけることなんじゃないかと。

 というのは、どんな仕事でもそうだと思いますが、「店はムダ(ロスタイム)が発生するようになっているもの」なんです。

 普通にやっていればムダが生まれる。そのムダは、料理を出したり下げたりするタイミングのズレにもつながり、お客様をいらつかせてしまう。注文が厨房に通るタイミングが悪ければ、味の低下に繋がる。

 それを避けるには、準備をしっかりしておく。準備とは何か。いろいろありますが、一番重要なのは、従業員1人ひとりをしっかり育てて、チームワークの取れた仕事をしてもらえるようになってもらう。

 ですので、「この子はどのくらいのレベルまできたから、次はどうステップアップしてもらおうか」と考えるのが、店長の非常に大事な仕事になるんです。育てる上で肝心なのは、「気付きと判断」ができるようになってもらうこと。オペレーションは、お店の人の気付きと判断のレベルによって全然違ってくるので。

呼んでも気付かない店員さん、いますよね

 「気付き」「判断」を、外食のお店で具体的に言いますと、たとえば「お客様が呼んでいるのにすぐ気が付くかどうか」がそうです。実際、「気がつかない子」もいますから。そういう人には、店内を移動する時は、動きながらまわりのテーブルの状態や、お客様の表情を見てきなさいよとか、下にごみが落ちていたね、とか、見るべきポイントをまず教えてあげます。

 そして、外食の場合、サービスのタイミングの判断が結構大事なんですよ。注文を取るタイミング、料理を出したら食事の途中でのお冷やサービスとか食べ終わった食器を下げるとか、食後のデザートは、ちょうど食べ終わった食器を下げたら間を置かず提供できるとか。皆さんもご経験があると思いますけれど、「なんだかスムーズに食事が進むなあ」というお店もあれば「何度もタイミングがずれて、腹が立った」というお店もあるでしょう。

 食後にデザートをスムーズにサービスするには、「そろそろお食事が終わるから」とタイミングを見はからって、キッチンに注文するか、自分で作るとかしないといけません。担当が気付かないと永遠に出てこない。お店への印象も含めて、すごいロスが発生してしまいます。