青木:これ(写真左)がタイのてんやのメニューの一部です。天ぷらトムヤムうどんも、おいしいと好評です。

用松:そもそも、同じてんやでも、日本とはかなりお店の性格が違うんだよね。日本では比較的年配のお客様が、おひとりでいらして、短い時間でさっと召し上がって行くことが多いのだけど…

青木:東南アジアの場合、ターゲットは女性、そして若いカップルがデートで使えるおしゃれなお店です。グループ客も多いので、いろいろなメニューが頼めるように、国に合わせてバリエーションが必要です。SNSの普及率も高く、WEBにアップしてもらわないと注目されません。

フィリピンは「12名様ご案内~」があたりまえ

青木:タイ、インドネシア、そしてフィリピンの人も、ショッピングモールにレジャーで来るんですね。10代から30代のお客様が、ウィンドウショッピングを楽しんだ後、1時間くらいゆっくり座って食事する。レジャーのいわばメインイベントが食事です。なので、カップルやグループで来て、長時間楽しめるようなメニューとお店を作らねばなりません。もちろんこれは、私にも、てんやにも初めての体験でした。

 でも考えてみると、日本の、東京の食事情の方が、世界で見れば特殊なんですよね。

用松:そうだね。昼食も時間がない、地価が高いから狭い、「ひとりめし」が多い。

青木:ああ、それでいくとフィリピンでは「お客様、12名様ご案内」とかざらです。

用松:すごいね。だから店内の席にあまり仕切りがないんだね。

青木:そうなんです。10名以上が普通にいらっしゃるので。逆に、食事にひとりで行く、なんていったら「大丈夫か、自殺でもするんじゃないか」と周りが心配しますよ。

用松:へえ~!

青木:フィリピンの人は、誰かが食事に行こうとすると、我も我も「一緒に行く」と相乗りしてくるんです。だからだんだん人数が増えていく。お店に着くころには10人以上になるわけです。なので、お店も「for3」「for4」といったシェアメニューをほとんどのレストランが出しています。最初に見かけたときは「なんで?」と思ったのですが、もちろんいまではてんやでもしっかり用意しています。

用松:ご飯もちゃんと付くんだよね。

青木:ご飯が大好きな国ですから現地で「天ぷら+うどん・そば」のセットを提案したら「いいねえ。ぜひご飯も付けてくれ」とリクエストされました。

用松:で、どうしたの?

青木:もちろん付けましたよ! あと、国によって嗜好が違うなあと驚いた中では、たとえばタイのデザートメニューは、抹茶アイスが圧勝で、バニラとかには目も向けてもらえない。抹茶味が非常に好まれますね。