用松:もうちょっと普通な例を話そうよ(笑)。

髙橋:普通の…あっ、「案外、内輪で受けると外ではダメ」ということが多いように思います。代表例で言うと、ずいぶん昔ですが鰯の天ぷら。

用松:あったあった。鰯は内輪ではかなり盛り上がったんだよね。

髙橋:おいしかったんですよ。内輪では、社内では評判がいい。でも、我々はもう毎日毎日、天丼、天ぷらを食べているんですよね。だから、さっぱりした鰯の味に「おっ!」と大きく反応したのかもしれないと思うんです。

用松:なるほど。そういえば、まかないとして出して受けたんだっけ。

髙橋:そうです。商品にしたときは、しょうが、梅肉と合わせた鰯の天丼にしたんですが、大きなミスは、海老を入れなかったことです。ものの見事に失敗しました。

用松:鰯だけの天丼は、地味だったんだね。

髙橋:そうです。肉系を除けば、過去、季節のキャンペーンで海老を入れない天丼は大抵うまくいきません。センターには、海老。海老がないと厳しい。

用松:もともと我々も、海老には大変こだわっているからね。

髙橋:ブラックタイガーという種類で、プリプリ感と海老本来の味と風味が。自然のマングローブを利用した粗放養殖で育てているので、海老にストレスがなくって、餌はマングローブの中にもともといるプランクトン。イキのいいのがウリです。

つい「今回はいいんじゃないか?」と考えると…

用松:と、言いたいことは山ほどあるわけなんだけど(笑)。

髙橋:どうしても我々は、見慣れて、食べ慣れているので、つい「今回は海老はいいんじゃないか?」と思ったりもする。でも、違うんです。

用松:お客様は、「天丼を食べるなら、海老を食べたい」方がほとんどなんですね。季節の味を楽しんで、海老はアンカー。

髙橋:そこの期待を裏切っちゃいけないんです。

用松:最後に、髙橋君の片腕、マーケティング・商品部の小竹さん。彼女は主婦で、店舗のパートから本社スタッフに採用された「肉系天丼の女王」です。

髙橋:肉系というのは、ハンバーグとかローストビーフの天丼ですね。これらは、「従来の天丼とは別カテゴリーとして考えていい」ことになっています。で、小竹さんがその責任者として。

小竹:はい、好き勝手にやっております(笑)。

用松:定番のワンコイン天丼、上天丼、オールスター天丼と、季節の天丼がてんやの「王道」。肉系は、てんやの「覇道」でいい、と伝えています。肉系が対象とするお客様は、天ぷら、天丼にあまりなじみがない若い人。「がっつり食べられる」イメージで、この世代を天ぷら、天丼につなぐことが使命です。数がたくさん出なくてもいいから、やはりマグネット商品として、フックの効いた商品を開発してね、と。

小竹:肉系には「鶏天丼」が定番としてありまして、このほかに、世の中の興味を引くものを出しています。ハンバーグ、ローストビーフ、しょうが焼き天丼などですね。これを考えるのが特に楽しいです。

用松:「何でも揚げればいいというものではない」とか言われない?(笑)