議論は巻き起こせた
とは言え、複数の選択肢を並べて提示するという手もあったのではないですか。
上田:政府が動いていけばいいというわけじゃないという話をしている中で、経産省の具体策の是非に終始して、全体の世界観の話が置き去りにされるかもしれない。今回は結論を書かなかったことで、こういうやり方があったんじゃないかと思います。選択肢を書こうとすると結局、具体策になる。できることしか書けなくなる。そういう意味では、この段階で出して議論を始めるというやり方はあるんじゃないかと考えています。
話題になり、議論が巻き起こっているから良しとする、ということですか。
高木:プロジェクトに参画したメンバーはこれからも仕事の中で考え続ける課題だし、具体的に役人だから制度をどういう風に変えていくべきなのかは一人ひとり考えていかなければいけないと思っています。
だがもう一つの方向の議論として僕ら、霞が関の役人だけがこの議論をしていても答え、やりきるところまではできない。最後は政治という話もあるし、その背景には社会がある。
財源一つとっても、社会的にみんながどう納得して税を上げるかとか、いろんなやり方があります。この方式で上げます、といきなりやっても政治としてやりきれないのはわかっている。だから違うボトムアップとしてこういうアプローチもあってもいいと思います。
第3章の「我々はどうすればいいか」では「シルバー民主主義の下で高齢者に関する予算は当然のように増額される一方、教育の充実には新たな財源を見つける【負担増】かその他予算を削減する【給付減】しかないのが現状」というくだりもある。
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