
第1章の問題提起では、「かつて、人生には目指すべきモデルがあり、自然と人生設計ができていた」と指摘。それが崩れており、新たな社会システムを創る努力を始めなければいけないのではないか、と始まる。
第2章では「『サラリーマンと専業主婦で定年後は年金暮らし』という『昭和の人生すごろく』のコンプリート率はすでに大幅に下がっている」と指摘。
終身雇用制度で定年まで勤め上げて年金や退職金で暮らす老後や、結婚・出産し添い遂げる生き方を前提に制度ができており、変革が進まないと指摘する。
「昭和の標準」への反省
「昭和の人生すごろく」を守り続けてきたのは誰なのかと、自分の組織への反省が足りないとの批判があります。
上田:役人の限界というか、できていなかったことだと思いますが、この「昭和の標準」という世界観でものを見ていたんじゃないかという反省はある。いろんな生き方があって、みんないろんなことやっていて、その中で我々は一プレーヤーとして何をするかという視点でものを考えていかなければという問題意識は強く持つようになりました。
ただ、メンバーがPTに参加したきっかけ自体が、今のやり方だと世の中全体を見られていない、中長期の課題を考えたいという目的がありました。だから今、できていないという認識はみんなあったと思います。うちの組織が全然だめだと正面から書いても何にもならないと思ったので、こういう構成になりました。反省してないのかと言われたら、自分なりに今のやり方でいいんだろうかという思いは、みんなが持っています。
今回のペーパーに対して「わかりやすい」「掟破り」と評価する声がある一方、「普通の企業では公表するレベルではない」「作りかけ」という批判もありました。
上田:熟度は確かに足りないかもしれません。社会全体に関する資料を作ろうとすると、どの分野も専門の人がいて、どの分野もここはちょっと違うねとなるし、そういう意味で、質が低いというのはあると思います。
ただ、全体を見せるという分には、ストーリーができているし、我々の世界観や危機感は表現できている。それを公表しないほうがいいと言われると、「今のままではだめだ」と言いたかったことが言えなくなるということで、つらいところです。
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