不満と不安がたまる若い世代

Q. 現在の経済・社会的な境遇で 最も恵まれているのはどの世代か?
Q. 現在の経済・社会的な境遇で 最も恵まれているのはどの世代か?
(注:全世代の平均値)
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 最も恵まれていると思われている世代は断トツで70歳以上だった。これはすべての世代で共通。背景には、「高齢者でも収入や資産に応じて負担を増やすべきだ。このままでは、制度自体が破綻する」(66歳男性)、「余裕のある高齢者もたくさんいる」(51歳男性)など、社会保障で支えなくても生活できる高齢者の存在がある。高齢者からも「確かに若い世代は大変だと思う」(73歳男性)との声が上がる。
   実際、総務省の家計調査(2015年)によると、世帯主が70歳以上の世帯当たりの貯蓄は平均2389万円、60代は2402万円。50代の1751万円、40代の1024万円、40歳未満の608万円を大幅に上回る。しかも、40代以下は住宅ローンなどを抱えており、負債が貯蓄を上回っている。

老後の不安、もらえない年金へのジレンマ・・・

 調査では、社会保障制度全般について自由な意見も募った。有効回答数の半分以上の約500人から、自分の老後への不安や制度改正の提案など、様々な意見が寄せられた。一部を抜粋する。

20代
 「年金を払っていても自分はいくらもらえるのかわからず不安で仕方ないうえ、社会保険料は年々上がってきており、なかなか貯蓄に回せるお金がない。保険料も20代や30代はあまり病院にかかっていないと思うので健康保険料を安くしてほしい」(29歳女性)
 「自分が高齢者になる頃はどれほど悲惨になっているのか、恐ろしく思う」(25歳女性)
 「人口が増え続けていた頃からの制度のまま運用されており、今の社会での有効性を失っている」(27歳男性)

30代
 「同年代の間で、年金はもらえないもの、というのは合言葉になっている。年金は考えずに投資・運用をしないといけない意識があるので、贅沢をしていられない」(30歳女性)
 「体調不良で病院(特に整形外科)に行くと、必ず井戸端会議のお年寄り軍団に出くわす。絶対に必要な人だけ行っているようには見えず、子育て世代の貴重な財源が削られているかと思うとやるせない」(35歳女性)

40代
 「終身雇用制度はほぼ崩壊しており、収入を得られなくなるリスクは今の高齢者の時代よりもずっと高い。現在年金を払っている人には確実にそれに見合った年金や社会保障が得られる仕組みを継続し、真面目に働き、年金を支払っている人が馬鹿を見ないことを祈っている」(41歳男性)
 「払った額に対して受け取る額がマイナスになることがわかっていながら納めなければいけないというジレンマは、いつも感じている」(43歳女性)

50代
 「65歳からを高齢者として制度が作られていますが、これを75歳からに変えてもよいのではないでしょうか?」(59歳男性)

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