<b>小林史明氏(34)</b><br />2007年上智大卒、NTTドコモ入社12年衆院議員初当選、自民党青年局長代理。広島県出身。
小林史明氏(34)
2007年上智大卒、NTTドコモ入社12年衆院議員初当選、自民党青年局長代理。広島県出身。

小林:政治はインフラを提供するのが大事ですが、「俺はいらないから必要な人に回してあげて」という助け合いの仕組みが、今はありません。政治のモデルが徐々に変わってきて、今は政府が消費税を集めて国民に還元するようなモデル、いわばB to B to Cですが、より直接的に企業から国民=B to C、国民から国民、つまりC to Cにお金を回すモデルにすれば、権利を返上した人と受益者の関係は、これまでより見える化できます。それによって、権利を放棄するインセンティブも出てきます。

 こども保険は貯められることなく、必ず子供たちにいくので、払った分と恩恵が明確に見える。これまでの仕組みは複雑すぎて、見えないからこそ不安だったり負担するのが嫌だったりした。それを見える化することが、シルバー民主主義のなかで人々の気持ちを変えていくことにつながるのではないでしょうか。

ヤマト値上げと社会保障改革は似ている

村井:シルバー民主主義も問題ですが、政治不信も深刻です。税金を取られるが、何に使われるかわからない。その点、こども保険は“入りと出”が明確で政府が介在する余地はほとんどない。国民も理解しやすいと思います。

小泉:確かに、社会保障改革を進めるためにも、政治不信は乗り越えなければいけないポイントです。そういえば、最近話題のヤマト運輸の料金値上げと社会保障改革は、構造は似ています。でも人々の反応は全く異なるなと感じています。

 ヤマトは「人手不足でこのままでは運べなくなるから、料金を上げさせてください」とお願いしていますよね。ヤマトがそういうと、「なんか、そうだよね」と同情する(笑)。これだけネットで注文してるんだから、値上げも仕方ないと思ってしまいます。

 社会保障改革も構図は一緒で、「少子高齢化でもう持たないからご負担お願いします」とお願いするわけです。しかし、ヤマトみたいに「そうだよね」とはなりません。それは、政治が無駄遣いをしているのではないかと、国民から信頼されていないからです。

 こうした状況ですから、僕は社会保障改革は、もう根本から変えないと無理ではないかと思います。

 例えば、余裕がある人には年金が支給されないように、手を上げなければ支給されないという原則にするとか。医療費についても、今は年齢によって自己負担率が3割か2割か決まりますが、そもそも、年齢によって弱者かどうかを決めるのが正しいのでしょうか。真に困った人は、若者にも高齢者にもいます。年齢でなく、例えば基本的な保険料は一律でとり、あとは所得に応じて負担率を変える原則にするとか。

 結果がどうなるにせよ、一度、原則を変えるような大激論をやってみるべきです。相当なハレーションが起こるでしょうが、やらないと進みません。自民党内でコンセンサスは取れないだろうけど。

小林:ただし、今こそそれができるタイミングでしょう。イノベーションによって、一人ひとりに合ったサービスを提供できる技術基盤が整ってきました。基本は3割負担で、それぞれの努力や状況に応じて負担を軽減できるはずです。新しい制度を作り上げるための社会変化は、既に起きています。

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