固有名詞をあえて挙げるが、北青山Dクリニックの阿保義久院長は仲間の医師たちと、それぞれの専門の壁を越え、最先端医療の情報を共有するための研究会も開いている。仲間たちが東大病院や国立がん研究センター、虎ノ門病院などの最前線で働いている。そんな背景があって、いざという時には、虎の門病院の脳神経外科を頼ると私は決めていた。

 過去に、私は虎の門病院の受診歴があり診察券も持っていた。以前のこの連載でもふれたが、診察券さえあれば病院は救急搬送を受け入れてくれる。備えあれば憂いなしと言いたいところだが、まさかこんなに早く「備え」を使う羽目になろうとは思ってもみなかった。

 虎ノ門病院に到着すると脳外科チームの若手医師の簡単な問診があり、その後、すぐにMRI検査を受けたのだが、あろうことか、新しい梗塞はまったく認められなかったのだ。

 それを医師から伝えられたときの安堵感は今でも忘れないが、そうなると私がその朝感じた脚の異常は何だったのかという話になる。脳神経外科チームの解説は「脳梗塞が起こったのだろうが、血液をサラサラにする薬が効果を発揮していて、すぐに血栓が溶けてしまったのではないか」というものだった。

患者からも積極的な発信を

 私が最初に起こした脳梗塞は厄介だった。小さな血栓がたまたま細い血管に詰まったことまでは明らかに分かっていたのだが、原因が分かっていなかった。心房細動などの心臓病由来なのか、それとも動脈硬化など血管由来なのか、急性期病院では判断できず、両方へ対処するために2種類の薬を服用している。その甲斐あって再発を抑え込むことには成功したが、このままで良いはずもなく、虎ノ門病院では「原因を徹底的に突き止めよう」ということになり、そのまま検査入院となった。

 それでも決定的な原因はこれだという結論には至らなかったが、リスクの評価はできた。その情報を共有した主治医と北青山Dクリニックの専門医の意見が検討した結果、まずは服用する薬を変更した。これはとても良かった。

 私たちは医師が処方する薬を何も考えず、言われるがまま服用しているが、医薬の世界も日々進化を遂げており、何がベストなのかを判断することは医師にも難しい。保守的に古くて実績ある薬を処方するのがいいのか、実績は少ないが高機能の新薬がいいのか。副作用や価格なども含め、ベターな選択をしていくほかない。

 いずれにしても患者サイドから発信しなければ、医師も気づかないことがたくさんある。良い主治医を持つことが大切だが、自分の身体は自分で守るという「覚悟」が再発防止の基本だと私は考えている。生活習慣病の放置などありえない。それは自殺行為だ。