水分をとらずにサウナに入ることは脳梗塞につながる

 2度目は重い後遺症が残った。右半身麻痺で、言葉もスムースに話せなくなり、声量も決定的に落ちてしまった。そこから立ち上がってコンサート活動を再開したのだから、本当に凄い。かつての大スターが不自由になった身を晒しながら、それでも歌手として復活することの難しさは並大抵のことではなかったはずだ。

 ここでまたひとつ疑問に思うことがある。

 西城さんの再発への備えはどうだったのか。最初の脳梗塞はやむを得ないと思う。健康な人が体型を維持するためにサウナを利用しようとするのはよくある話だし、水分を摂らずにサウナに入ることが脳梗塞という重大な結果につながることを知らずにいても不思議ではない。

 第一、その習慣を長年続けてきたのだからご本人にとっては、青天の霹靂であったに違いない。問題はその後だ。どれだけ再発への備えができていたのだろうか。ましてや2011年に再発後の身体のケアはどこまでできていたのだろうか。

 批判をするのは簡単だ。再発後も深酒を続け、ヘビースモーカーとしても知られていた。そんな無茶をしていれば寿命が縮まって当然だと言われても仕方ないと思うが、生活習慣を完全に変えることは難しい。脳梗塞になったのだから再発を誘発する深酒、喫煙などすぐに止められるはずだと考えるかもしれないが、現実は違う。

 初台リハビリテーション病院を退院する時に私は「再発が起こる一番の要因は何か」とベテラン理学療法士に尋ねたことがある。医師とは違い、患者と共有する時間が圧倒的に長いリハビリの専門家は、結果的に患者のプライバシーについてもより踏み込んだ情報を持っているものだ。

 彼の返事はシンプルだった。

 「生活習慣を変えないからです」

 ざっくりとした表現だが脳梗塞の修羅場を数多く見てきた理学療法士だからこそ言える明快な答えだ。医師はこんな単純な答えはしない。「再発」の理由を医学的に、正確を期して語ろうとすれば、一言で集約できるものではないからだ。

 ただ脳梗塞は病気ではない。心房細動のような心臓病や動脈硬化など血管に問題があって、血栓ができて、それが脳内の血管に詰まって起こる現象である。つまり脳梗塞は病気ではなく結果なのだ。だから再発しないように血液をサラサラにする薬を患者は例外なく服用する。