ファッションには人の気持ちを動かす力がある。むしろ振り切ったコーディネートをした方が絶対にいいと彼は譲らなかった。心が動いた。これから自分自身と闘いをしていこうというのに、こんなところでひるんでいてどうするんだとの思いが込み上げてきた。この日はさらに真っ青のジャケットと白のパンツも購入することにした。

「こんな時こそ、おしゃれを」(写真:olgamay/123RF) 写真はイメージです
「こんな時こそ、おしゃれを」(写真:olgamay/123RF) 写真はイメージです

今の自分をさらけ出すことからしか始まらない

 人それぞれの考え方や事情があり、何がベストの選択なのかはわからない。

 でも状況が許せば職場復帰、社会復帰を果たすことが、ともすると「安定期」の名のもとに放置されがちなリハビリ訓練を自力で続ける一番の原動力になる。

 普通に歩けず、手も不自由で、会話もスムースでなければ、周囲の人たちは、どう接したらいいのかわからない。でも本当に問題なのは、周囲の人々が抱く同情などの感情ではなく、それを過剰に意識してしまう自分の心だ。いくら気に病んだところで現実は何も変わるわけはないのだから。

 幸い私は今の自分をさらけ出すことからしか始まらないと開き直れた。そうなれば、後は右肩上がりだ。「必要は発明の母」と言われるが「必要はリハビリの母」である。

 ハンデを負った自分を社会が受け入れてくれるかを思い悩む暇があるなら、あらゆる工夫を凝らして復帰してしまえばいい。迷惑千万、難題山積だが、自分の人生を取り返すには、そこからしか始まらないのだ。

(次回に続く)

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