(前回から読む)

「回復期」に集中的なリハビリで効果を最大化
最近、初台リハビリテーション病院(東京都渋谷区)のテレビでの露出がやたらに目につくものだから、この連載の中で触れるのも、宣伝臭い感じがしてはばかられるのだが、3年前に実際に入院していた病院だからお許し願いたい。
初台リハビリテーション病院が優れた病院であることは間違いない。だが完全無欠な病院などあろうはずもなく、リハビリに対する考え方そのものに疑問を感じることも少なくない。初台といえばハードワークが売り物だ。365日、1日も休まず、厳しいリハビリをする。それは脳梗塞による麻痺症状の急速な改善が期待される「回復期」と呼ばれる3カ月間に、集中的にリハビリをすることで、効果を最大限引き出そうと考えているからに他ならない。
そのためにリハビリスタッフの人数も充実しているし、1人の患者に対して医師や看護師、ケアワーカーなどがチームを組んで対応する見事なシステムを備えてもいる。人にもよるが、1日も早い社会復帰を切望していた私にはハードワーク・オンリーの初台のリハビリはうってつけだった。自主トレも含め、ストイックに全力でリハビリに取り組んだ。
「休息」という発想は皆無だった
当たり前のことだが、1日も休まず、手抜きもせず、ひたすらリハビリをやり続ければ私も疲労困憊してしまう。それを見かねた看護師が「やりすぎだ」とリハビリスタッフに抗議したこともあったし、リハビリの合間にはベッドで横になって休息しろと言われたこともしばしばあった。しかし理学療法士や作業療法士たちには「休息」という発想は皆無だった。限られた時間内にできる限りのことをやることが、自分に与えられたミッションだと信じこんでいるようだった。
私はそのリハビリのハードさを批判しているわけではない。繰り返すが私にはそれが合っていたし、望んでもいたことだったので、個人的にはありがたかった。しかしハードワークは休息とセットで初めて効果を発揮する。
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