メモは取らずあえて記憶フィルターを通す

 正義はアイデアを生み出すための3つの方法を確立しました。これを私なりにアレンジして使っています。

 その1つは「記憶フィルターを活用する」こと。

 たとえば、正義の「問題解決型発想法」は困ったこと、問題だと思うことをノートに書き留め、毎日眺めて解決案を探り出すやり方でした。

 しかし、私はノートや手帳の類は一切持ちません。メモは取らず、頭の中の記憶にとどめる主義です。そこで重要なのが記憶フィルター。つまり脳ミソです。

 私の経験では、メモに取らなかったから忘れてしまう、つまり、記憶フィルターに引っかからないアイデアはそもそもたいしたアイデアではありません。「これをなんとかしたい」「どうしても困る」という重要性の高いことであれば、フィルターに引っかかり、自然と頭に残ったりするものです。

 常に頭の片隅に存在する問題に対しては、様々な解決策が常に「浮かんでは消える」もの。これを繰り返して最後に残ったアイデアこそ素晴らしいもののはずです。

 記憶フィルターを通してこそ、アイデアはより磨かれ、光るものになる――これが私の考え。だからあえてメモは取らず記憶フィルターにかけ、熟成させます。

周囲の人をマイメモリーに

 「これはいいぞ!」というアイデアがあった時にはスタッフ、パートナー、友人ら周囲の人間に伝えて「覚えておいて」と頼みます。

 この周囲の人間という「外部記憶装置を活用する」のも私なりのアレンジです。周囲の人間は私から聞いた情報を彼ら自身の記憶フィルターを通して処理します。人によってフィルターの目の粗さは異なります。興味の対象や着眼点も違うから、時に、私が伝えたのとは違う形で記憶されることがあります。

 後でそのテーマついて話し合った時、「ん? オレそんなこと言ったっけ?」と思う場合があります。これこそ、外部記憶装置の妙味。私とは異なる周囲の人間の記憶が新しいアイデアを誘発します。「…っていうことはさ、ここをこういう風にしたらもっと魅力的になるんじゃない?」という具合に、より深みを増したアイデアに昇華することが多々あります。