中国人の「おおらかさ」についての個人的なひとこと

 行列について書いていて気がついたのだが、列に並んでいる時、「自分は急いでいないから、先にやっていいよ」という人が中国には時々いる。もちろん先方から声をかけてくれるケースはそう頻繁にはないが、こちらが困っていれば譲ってくれる人は多い。私自身、つい先頃、地方都市の高速鉄道駅で急遽、予約を変更して駅の窓口で紙のチケットを再発行する必要に迫られ、発車時間は迫るし、大汗をかいてペコペコしながら列に割り込ませてもらったことがある。十数人の人が並んでいたと思うが、表立って文句を言う人はいなかった。

 日本だったらこの列車に私は乗れなかっただろう。もちろん予定を変えた責任は私にあり、そのシワ寄せを他人に押しつける権利は私にはない。スジ論ではそうであることは自覚しているが、そういう「細かいこと」を中国人は言わない。「まあそんなこともあるよね」と淡々と現実を受け止めているだけである。

 こうした「ゆるさ」には良い面、悪い面があるだろうし、私は日本人の緻密で厳格な姿勢が大好きだが、一方でこれまでに幾度、この種の「大陸的」「おおらか」な人たちに助けられたか知れない。スジと量、あちらを立てればこちらが立たずで、世の中はなかなかに難しい。

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この記事はシリーズ「「スジ」の日本、「量」の中国」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。