あと重要なのは、ブロックチェーンを使えば誰でも参加できるシステムを構築しやすいということです。現状、ヤマト運輸と佐川急便の物流システムを接続するのは難しい。でもブロックチェーンならばネットワークにつながった複数のコンピューターに同じデータが保存されるため、一台のサーバーで一元管理するわけではない。つまり、このプラットフォームならばヤマト運輸や佐川急便だけでなく、日本郵便も参加できます。これはすごく重要で、システムを全部統一できるメリットはものすごく大きい。

 だから「ウチのドローンは速いですよ」とか「重たいモノでも運べます」とか、そういう単機能の売り込みを我々はしていません。あくまでもアプリケーションも含めて、丸ごとワンパッケージで提供できるということを強みだと考えています。

ドローンを使った物流もまずは「単線」から

 実際、ドローンを使った物流を運用する立場の人だったら、どんなことを気にするでしょうか。

:落ちたらどうするか、とか。

小松:はい、落下した場合はどうするのか。もし人にぶつかっちゃったらどうするのか。荷物を載せたまま行方不明になったらその補償はどうするのか。個人情報をどうするのか。システム上はネットワーク回線を切れば「情報は洩れませんよ」と言えるかもしれませんけど、積載物には当然のことながら宛先は書いてある。実際、親から子に送る荷物なんて個人情報が満載じゃないですか。

 そうしたリスクに対して、どうやってヘッジするか。そうすると適当なところを飛ばして落ちてしまうことを避けるためには、安全性が確保された東京電力のドローンハイウェイの上で物流を走らせるべきという話になるでしょう。

 そのためには電磁波の影響を受けないようにしなきゃいけないし、安全ルートの設計もしなきゃいけない。セキュリティー面で言うと、何か問題が起きたらネットワークを切ればいいのではない。ジャミング(電波妨害)やハッキングにはどう対処するか。飛んでいるときの安全管理と荷物自体の安全管理、それが人に渡ったときに、ちゃんと受け取ったかどうかの証明。こういったことまで考えないと、「ドローンでモノが運べるようになりました」と言ったって誰も使ってはくれないでしょう。

Aerial Lab Industries(エアリアルラボ)でCEO兼CTOを務める小松周平氏(写真:北山 宏一)

:ドローンを使ったような物流は、いつ実用化すると思いますか。

小松:2021年ぐらいじゃないですか。もうそろそろだとは思います。

 たぶん最初は、2つの拠点間を行ったり来たりするようなレベルから始まるはずです。電車の歴史もそうですよね、最初は新橋と横浜間の単線から始まって、月日をかけて全国に鉄道網が広がったたじゃないですか。ドローンを使って安全にモノが運べるんだというコンセンサスが社会に広がっていけば、自ずと次はもうちょっと範囲を広げていこう、という話になる。