私は大学で航空系の勉強をしてきて、日本の製造業をもう1回、世界に羽ばたかせたいという想いがありました。島田さんからは「若いやつはどんどんチャレンジしていくべきだ」という言葉をいただいた。もう1人影響を受けたのは、「じげん」を創業した平尾丈氏です。同世代で起業家として活躍している人を目の当たりにして、自分自身も起業したいと思うようになりました。

 それで2014年に日本に帰国して、スカイロボットというドローンを開発するベンチャーに参画。自分もCTO(最高技術経営者)としてドローン事業を始めました。ところが、2015年4月に首相官邸にドローンが落下するという事件が起きました。

:あの事件で、「ドローンは危険だ」という認識が広がって、規制を強化する動きが一気に加速しました。

小松:私にはチャンスと映りました。何をするにも、ちゃんとしたルールがあって、はじめてビジネスができる。それでスカイロボット時代はドローンの開発を一旦止めて、ドローンの操縦士を育成するスクールの運営に方向を転換しました。

 スクール事業が軌道に乗った時点で、僕の中で「やっぱり空飛ぶクルマを作りたい」という思いが強くなりました。これは、祖父がパイロットだったことも影響しているかもしれません。そこで2017年2月、債務超過に陥っていたドローンの開発企業を買収しました。それがこのAerial Lab Industries(エアリアルラボ)です。それで空飛ぶクルマを開発するために、まずは「空のインフラ」が必要だと考えました。

ドローンにブロックチェーンが必須なワケ

:空のインフラ、とは何ですか。

小松:映画『スター・ウォーズ』で空飛ぶクルマのシーンを思い出してください。それぞれのクルマは勝手に飛んでいるのではなくて、あたかも空中に道路があり、その上で列を成して飛んでいる。それを実現するためには、フロントガラスに同じ道路が見えていないといけない。つまり空飛ぶクルマの開発をするってことは、空路の設計も併せて取り組まないといけないということです。

 当然のことながら、ETCのような管理システムも必要でしょう。何百万台というクルマが大空を移動するには、どのクルマが、どこを飛んでいるかをリアルタイムに管理しなくちゃならない。だったらブロックチェーン(分散型台帳)技術が必要だと、頭の中でパッと思い浮かんだんです。

:仮想通貨に使われているブロックチェーンが、ドローンに必要なんですか。

小松:はい。ドローンでも、空飛ぶクルマでも、無人小型飛行体(UAV)でも、それぞれにIDを割り振り、GPSの位置情報をリンクさせる。位置情報に基づき、課金や認証もする。こうした膨大な情報を後から改ざんできないように、セキュリティーでしっかり守る必要もある。そのためには、セキュア(堅牢)な管制システムが不可欠で、そのためにもブロックチェーンの知見を自分たちで貯めないといけないと判断しました。

:ブロックチェーンとドローンを組み合わせると、どんなことができるようになるんですか。

小松:2017年末に、JR九州と提携させていただきました。鉄道設備の安全管理にドローンを活用するプロジェクトを推進します。ドローンを線路に沿って飛行させて、カメラや各種センサーを使って線路に異常がないかどうかを検査する。こうした巡視作業はこれまで人手に頼っていましたが、ドローンを使えば夜間でも自動的にできるようになります。土砂崩れが発生して人が近づけないような状況でも、ドローンならいち早く現場に駆け付けることも可能です。