清野:だって、そうはいっても日本は米国の同盟国なんだから、米国はとことん守ってくれるんじゃね? と単純に信じていました。だから、北のあの国の核を容認するなど、もう信じられないのですが、そういう論もアリなのですか。

手嶋:存外と、かの国の本音が覗いているのではないでしょうか。トランプ大統領の政権も「米国・ファースト」ですから、北朝鮮がICBMの発射実験を凍結すれば、核保有自体は認める可能性をなしとしません。

清野:ICBMが米国に届かない限りは、取りあえず金正恩体制保持といきましょう、ということは、そりゃあ米国はいいかもしれませんが、日本にしてみたら、冗談じゃない。困ります。

手嶋:その通りです。その点で東アジアの安全保障には、究極のジレンマがあるのです。

日本は米国の恋人……のつもりでいたけれど

清野:こっちは恋人だと思っていたけど、相手にとってはただの友だち? というか、それ以下だった? いったい日本って、国際社会、そして東アジアの中で、米国にとってどういう位置付けなのでしょうか。

手嶋:そのご質問に私がお答えする前に、よくある手ですが、大西洋を真ん中に置いた世界地図で、世界をご覧になることをおススメします。

清野:「きほんのき」ですが、大西洋を真ん中にすると、米国とヨーロッパこそが世界の中心となり、日本がたちまち「極東」そのものになりますね。

手嶋:日本は米国にとって、東アジアでは最重要の同盟のパートナーです。ただ、だからといって、超大国米国が、日本の国益に常に寄り添うとは限りません。北朝鮮の核・ミサイル問題でも、米国の脅威にならないなら、それでいいと手を打つ可能性は常にあるのです。

清野:我ながら、ばかみたいですが、ええー、ショック。

手嶋:ですから、日本外交はそういう事態を招かないよう常に米国に毅然とした姿勢で臨む必要があるのです。

清野:で、私たちは渡り合っていけるのでしょうか。

手嶋:残念ながら、日米の間では圧倒的な「貿易不均衡」があります。たとえば私の専門のインテリジェンス分野では、「インテリジェンスに同盟なし」という言葉があります。