リーダーは口出ししないために口を使うべし

 後半部分の「用いては疑う勿れ=一旦登用したら信頼して使え」というのが本来の意味ですが、100%信用はしません。100%の信頼は相手に嘘をつかせる原因になるので良くありません。「君には全幅の信頼をしているよ」と伝えてしまうと相手は喜ぶと同時にその期待を裏切ってはいけないという考えが浮かび、失敗などを隠すようになります。

 90%信用して任せるといっても、放任ではありません。具体的な目標や期限などを設定し、そこに至る線を引いてあげるのがリーダーの仕事です。やり方は部下に任せ、線上を進む限りは口出しをしない。リーダーが口出しすべき時は線から外れたときだけです。

 リーダーがほとんど口出しせずに組織が問題なく回っているなら、それはリーダーがしっかりと仕事をしている証です。現場の人たちが方針を理解し、隅々まで浸透するように、普段から繰り返し伝えられているということになります。

 リーダーの中には、「つい口出ししたくなるから、現場にはあまり顔を出さないようにしている」という人もいますが、それは本末転倒です。それではいつまで経っても部下を信じて任せることができるようにはなりませんので、本当に任せたいと思ったら、周知徹底できるまで現場に顔を出し、聞き飽きたと言われるくらい語るべきでしょう。

組織がフラット化してもリーダーは必要

 それでは“ずるゆるマスター”の事例を見てみましょう。

 Xさんは困っています。コンピューターの日進月歩の発達で人間が今までしていた仕事が無くなるとたくさんの記事を目にするのが当たり前になったのに、プラスして外国人労働者が大量に押し寄せてくる。人生100年時代と言われているのに、定年延長しても65歳まで、しかも嘱託の給料激減は合法の判決、年金は期待できない。親の介護の問題や子供の教育のことを考えると将来が不安で仕方ありません。

 一人で悩んでいても仕方ないのでM部長に相談することにしました。M部長は役員間違いなしと噂されている“ずるゆるマスター”です。

 「という感じで非常に困っています」

 「正直に話してくれてありがとう。これからはリーダーシップがとても大切になるよ」