上司も理由があって却下しています。ボキャ貧相手には、いちいち微に入り細に入り説明はしません。お互いのストレスになったり、無駄な時間を浪費するハメになるからです。

 ですが、あの手この手でうまくコミュニケーションをとっていけば、納得できるような説明の用意があることは往々にしてあります。「今はこういう理由で無理だよ」「上に通すにはこれこれの実績や数字的根拠が足りない」といった理由や対策を説明してもらえるようになるので、愚痴を発散するために赤提灯の暖簾をくぐることはなくなるでしょう。

 読書が苦手だという人は映画でもいいでしょう。ユーモアの効いた映画風のフレーズを使えば、断りづらい要望や依頼も角を立てずにかわすことができます。これも後々引きずらず、「その場」でやりとりを完了させるために役立ちます。

リーダーになるために。第一の条件は至ってシンプル

 AI、外国人労働者が増えてもリーダーシップがあれば何も怖くはありません。

 私たち日本人は、どんな人がリーダーにふさわしいかを考える時に、性格的な要素に目が向きがちですが、合理主義で現実主義の華僑はその限りではありません。「リーダーの条件」を満たせば、誰でもリーダーになりえます。そのリーダーの条件を満たさなければ、どれほど人気があっても人望があってもリーダーになるべきではない、というのが華僑の基本的な考え方です。

 それではどのような条件がリーダーに欠かせないのでしょうか? 第一に周囲を混乱させないことです。『礼記』に次のような言葉があります。

 「天に二日無し、土に二王なし」

 意味としては「天に二つの太陽が無いように、一国に二人の王がいるべきではない」でいいでしょう。

 会社やチームやプロジェクトなどの組織も一国と同じです。指示を出すリーダーが二人いれば混乱するのは当然として、リーダーが一人でもその方針が二つ、三つあれば、リーダーが二人三人いることと同じ状態になってしまいます。リーダーは一本の軸を立て、それを守り抜く。それが組織を守り抜く鉄則なのです。

 ここで、慣れないリーダーのために、誤解しがちな2点を挙げておきましょう。

1.「軸がブレる」の誤解

 軸の基点さえ動かさなければ、そこから広げるようにして角度をずらすのは「ブレる」ことにはなりません。

 筆者の会社のIoT部門でいえば、軸は「中小零細企業のための格安IoT導入」です。

 それを無視して高額なIoT機器に走るのはいけません。ですが、関連サービスとしてお客さんの要望に応じて、Webサイト管理やシステム開発の受注に手を広げるのは構いませんし、関連サービスについては価格よりも品質を打ち出しても問題ありません。「私たちは格安IoT機器で世の中に貢献する」という軸さえ変えなければ、部下だけでなく、お客さんも取引先も混乱させることはないのです。

2.「朝令暮改をしてはいけない」の誤解

 決定事項をすぐに変更するのは良くないと思いがちですが、自分の決定が間違いだと分かったなら即変更すべきです。決めたことにこだわって部下を道連れにする方がよほど迷惑なリーダーです。「初志貫徹のための朝令暮改」と前置きをして説明すれば、優柔不断という変な烙印を押されることはないでしょう。

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