行き詰まるというのは、今、停滞が窮まった状態でそれを打破すべき時がきたのだと教えてくれるサインなのです。サイン、予兆を読み取れるというのは、ビジネスパーソンとして必須のスキルです。

 占いの元となっている『易経』の言葉を見てみましょう。

 「窮すれば則ち変ず、変ずれば則ち通ず」

 意味としては

 窮すれば=どうしようもなく行き詰まると
 則ち変ず=変わらずを得なくなり
 変ずれば則ち通ず=変われば自ずと道が開ける

となります。

 今、窮しているということは、次に何かを変える時がやってくるはずです。その変化は、現状を打破して新しい道を開くための大切なプロセスですから、怖がることは何もありません。

筆者も体験した「窮即変、変即通」

 筆者も過去に行き詰まり、そして大きな変化を体験しました。

 私が行き詰まったのは、サラリーマン生活の終わりの頃です。それまでは時々、褒めてもらえることもあり、毎日同僚や後輩、上司と飲み歩き、結構楽しく過ごしていました。しかし元来強くないお酒を毎日大量に(着座と同時にジョッキ2杯を一気飲みし、生ジョッキ10杯飲んでから日本酒、ウヰスキーなどなど)飲んでいたせいで、身体を壊してしまいました。

 めまいが頻繁に起こるようになり、さすがにお酒の量を減らしましたがそれでも酔った時のようなフラフラ感が消えないようになりました。しかし病院での検査は異常なし。

 ついに私は変わらざるを得ないようになりました。お酒を完全にやめたのです。そしてお酒をやめた途端、あらゆる物事が好転し始めました。

 華僑の師と出会い、ダラダラと勤めていた会社を辞める決意を固め、起業。志を共にするパートナーや仲間にも恵まれ、いろいろなビジネスにチャレンジするチャンスも掴んでいきました。

 もちろん失敗もあり、別れもあり、反省は多々あります。それらは身体を壊した時ほどではないにしても、やはり棚卸しのキッカケとなりました。

 今では6社の代表を務め、書籍も10冊刊行させてもらっているわけですが、「あなたが望むチャンスを手に入れた方法は?」と聞かれれば、私は迷うことなく「お酒をやめたことです」と即答しています。

 筆者の例を挙げることで、お酒をやめましょうとお伝えしたいわけではありません。「窮すれば則ち変ず、変ずれば則ち通ず」なのです。

 窮すれば=どうしようもなく行き詰まると
 則ち変ず=変わらずを得なくなり
 変ずれば則ち通ず=変われば自ずと道が開ける

 行き詰まりは、チャンスの兆候なのだということをお伝えしたいのです。

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