だからスティーヴン・スピルバーグ監督の映画『ブリッジ・オブ・スパイ』に出てくるソ連側のスパイのおっさん、あれはリアルですね。超普通のおやじ。捕まるときブリーフ1枚だから。あの映画は、あの人をキャスティングした時点で、これはリアルなんだなということがすごくよく分かる。スパイは普通のおっちゃんに見えなければアウトなんですよ。

 イスラエルの新聞には「モサド(イスラエルの情報機関)募集」って広告が出ているんです。

大城:そんなの出ているんですか。

中谷:新聞に「あなたもモサドになりませんか」という広告が出ているんですよ。テストは実技だけです。その実技は、「首相官邸裏に今晩12時に銃を持ってこい」、それだけ。

大城:命懸けですね。

中谷:首相官邸の裏は厳重警備で、そこへ銃なんか持っていったら大変なことになるからね。たとえ銃がなくたって大変だからね。そのテストに受かるためにある人は双眼鏡を持っていく。要は鳥の観察。つまり職務質問に対して何と答えるかを考えていく、これが作戦だよね。一方で言われた通りに銃を持って来ているやつ、これは終わりだよね。職務質問は当然あるでしょう。それに対して、いやいや、これテストだからですと。それじゃ通じないよね。

広告代理店はできない人にも得をさせる

大城太
1975年2月8日生まれ。大学卒業後、外資系金融機関、医療機器メーカーで営業スキルを磨き、起業を志す。起業にあたり、華僑社会では知らない者はいないと言われる大物華僑に師事。厳しい修行を積みながら、日本人唯一の弟子として「門外不出」の成功術を伝授される。独立後、医療機器販売会社を設立。アルバイトと 2人で初年度年商 1億円を達成。現在は医療機器メーカーをはじめアジアでビジネスを展開する6社の代表および医療法人理事を務める傍ら、ビジネス投資、不動産投資なども手掛ける。2016年3月より日経ビジネスオンラインにて『華僑直伝ずるゆる処世術』を連載。

中谷:次は、華僑は「できない人」を大事にするという話です。

大城:はい。その回ではできない人を大切にするメリットを、三つの観点から説明しました(『「できない人」を大切にする3つのメリット』参照)。

中谷:この話、広告代理店としてコマーシャルを作るときの話と一緒だと思いました。広告代理店でコマーシャルを作るとき、見積もりのやりとりを散々やらなくちゃいけないんですよ。見積もりを無限にやらないといけないんです。通常であれば納品された後は、見積もりはもうないわけです。

大城:そりゃそうですよね。

中谷:ところが、コマーシャルの場合、本格的な見積もりは納品の後から始まるんです。見積もりをいくら安くさせたかが担当者の手柄になる。そして広告代理店の仕事は、関係したすべての人にいかに手柄をつくるかということにあるんです。たとえできない人でも、全員に手柄をつくらないといけない。そこにかかわっている全員にどうやって手柄をつくっていくかだから、10人いたら10段階の見積もりがいる。

 慣れてない人が担当になると、「え、事後で見積もりってどういうこと?」というふうになる。事後は請求書を発行するだけになりますがと。

大城:それって当たり前なんでしょうか。