中谷:最後がぐだぐだになると、もうそれまでのが全部帳消しになる。

 例えばデートで話題のお店に行こうとする。この場合、テレビで紹介されていたりして満席で入れなかったということも想定できる。だから行く途中で、あそこによさげな店があるなというのを常に探しておかないと。それらはネットでは紹介されてない店だから。歩きながら、ここがだめだったときにあそこかあそこだなというのを、行く途中で見つけておかないといけないです。

 これスパイはみんなやっているんです。常に、だめだった場合のことを想定して、二の矢、三の矢を用意しておかないといけない。

大城:ビジネスも同じでしょうか。

中谷:同じです。例えば契約書を出しました。その条件がのまれなかった。ちょっとほかのを考えてきてと言われたときに、そう言われるかと思ってと言って、次のこの契約書ではどうでしょうと出す。

 それもだめだったとする。あるセールスマンは17枚用意していた。17枚で落ち着いたんだけど、もっと持っていたと思います。

大城:それはすぐにビジネスマンが使える技ですね。

交渉時にケツカッチンはあり得ない

中谷:夜に大阪で社長とビジネスの交渉があって、次の日、朝一番で東京で打ち合わせがある。その交渉が長引いた。すみません、帰りの電車があるので、と言ったらもうこれで終わり。特に交渉事は最終の電車を見ながらやっているから。最初に「今日帰られるんですか」と何気なしのあいさつみたいな話題をしておいて、こっちのケツカッチンを知って、その時間で押してくるから。これ交渉事の基本ですからね。

 だから分かっている人はビジネスジェットに乗るんです。飛行機の時間を知られると海外での交渉は負けるから。決められたエアラインの飛行機じゃなく、自分で好きなときにビジネスジェットで飛べるように。あれはケツカッチンを迫られないための技なんですよ。

 新幹線で、今日最終で戻ります。明日朝一でお客さんに会わなければいけないのでと言ったら、相手側は自分に有利に詰めてくる。追い詰めて。時間を追い詰められた方が負けだから。

 ある人は最終の新幹線を乗り過ごしたんですよ。そうすると明日朝一のお客様に不義理が発生するんです。朝一の新幹線でも間に合わないから。だからタクシーで帰りました。運転手さんと交渉して、すみません、10万円で東京まで行ってくれと。ここで10万円で東京へ行ってくれと言えるかなんですよ。通常は、いくらで行きますか? いや、行ったことないから分からないと。大体14万円なんです。これを先に調べておくんです。これが作戦です。

大城:今日私の作戦は、傘を持ってきませんでした(編集部注:取材当日は小雨が降っていた)。先生のこのお部屋の雰囲気に合わないと思ったので。もし雨がひどくなったら、どこかで買えばいいと思ってました。

明日公開の第2回に続きます