ちょっとだけに食べていきましょうという話になって、遠慮気味に食べたんです。食べた後にお会計と言ったら、「あ、結構です」って。しまった、もうちょっと頼めばよかったみたいなことをプロデューサーは考えている。

 次の日、今度はナポリ湾に浮かぶ島に行ったんです。そこでも有名なお店を訪ねました。そこのお弟子さんと一緒に行ったんです。昨日のことがあったもので、取材した後に、その日はすごく注文して食べたのです。そしたらお勘定がキッチリ来ました。いい人だからなんです。

 ナポリのお店では、サービスをしておけばテレビに映る尺が長くなるという計算をしているわけですよ。一方で、島の人はそんなマリーシア(ずる賢い)なことを考えない。それは払うべきだろうというのと、取るべきだろうみたいな。

 だからどっちがずる賢いかといったら、都会の方がずる賢いんです。今後の関係みたいなことを考えている時点でずるい。結果、その方がサービスになっているわけです。

 サービスというのは人がいいとできないんです。サプライズパーティーができないのと一緒。サプライズパーティーは黙ってないといけない。でも、事前におめでとうと1人が言ったら終わりだから。1人いいやつがいるだけでもう、台無しなんです。

大城:確かにいい人って、どうしても秘密を守れないような気がします。

準備じゃ足りない、作戦を立てろ

中谷:それと準備型の人間の話でいえば、準備っていうと、ちょっと覚悟が足りないように感じます。たとえば、海兵隊では、準備というよりは作戦というんです。

 海兵隊では常に1つのことをやるときには3つ作戦を持っておけという。準備というのはただ情報を集めるだけ。一方で作戦というのが何かというと、その集めた情報に対してこうしようと考えておく。

 例えば天気予報を見て出かける。これは準備なんです。だけど今日あそこで雨が万が一降ったら、あそこで傘が買えるじゃないかと考える。これが作戦です。さらに、例えば今日パーティーがある。そこへ傘を持っていく。預けた傘を取りに行く行列に並ばなければいけない。その間にキーマンと話す時間がなくなる。だから傘は持っていかない。これが作戦です。今日の雨が降る確率は、天気予報で何パーセントだと調べる。こんなのは準備にすぎないです。

 どんなに寒い冬でも、僕はパーティーにはコートは着ていかない。コートを預けてしまうと、そのコートを取りに行っている間にキーマンと会う時間がなくなるから。これは作戦です。

大城:ビジネスマンに役立つ作戦を、もっと教えていただけないですか。

中谷:例えば接待の達人はお土産勝負です。ゴルフ接待でも土産が勝負。それから帰りのタクシーの押さえ。どんなうまくいっても、帰りのタクシーがなかなか捕まらないのですみませんといったら終わりです。

大城:どんなにいいゴルフコースや食事であっても、最後がだめだと薄れちゃうということですか。