これからのトレンドであるAI絡みの用語でRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)という言葉をよく目にするようになりました。RPAとはホワイトカラーの間接業務などを自動化するテクノロジー全般のことを指します。RPAを導入すれば、エクセルへの入力などやネットからの情報収集などを自動化できるようになります。

 RPA導入でどの業務を自動化するかの判断は正社員やコンサルティング会社などが手がけるが、実際にソフトを設定するのは事務の派遣スタッフだ。(日本経済新聞10月4日朝刊2面より)

 派遣社員も時代の要請に応じたスキルが要求されるようになっており、人手不足とはいえ、個々人の差は今後広がっていくかもしれません。それに拍車をかけるのがBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)市場の広がりです。これは社外に業務を委託することですが、人件費の安い海外へのBPOは2020年までに4兆円に達する見通しという試算もあります。4兆円分の仕事が日本人から消えるのです。年収1000万円計算で40万人分、500万円計算で80万人分の所得の原資が消える計算になります。

 海外には出せない、AI、RPAではできないことをやれることが今後のキャリアパスとして必要なのはいうまでもありません。

 まず一番のスキルとしてあげられるのがコミュニケーション能力でしょう。コミュニケーション能力の中に粘りが必要となってきます。

 例えば、AIなどが営業の代わりをする時代になると、何度接触しても購入に至らない、有益な商談進捗がないとなった場合、コンピューターはこの見込み客を見込みなし、と判定します。ですが、人間対人間の場合、たまたま機嫌が良くて契約締結ということはよくあることです。このようなたまたま相手の気分次第で、というのはコンピューターの苦手とするところであり、粘りのある人間が圧倒的に有利な分野でもあります。

 コミュニケーション能力アップとは、まさにトータル的な人間力勝負でもあります。お金儲けの代名詞となっている華僑は、とにかくコミュニケーションをとることを重視しています。彼らがバイブルとして使う『四書五経』をはじめとした中国古典には先人たちのその叡智が詰まっており、彼らは勉強として中国古典を読むのではなく、実践の書として使い倒しています。

自分を高める学びとは? 筆者の失敗談

 『論語』にある「君子は文を以って友を会し、友を以って仁を輔く」は彼らの人付き合いを表しています。意味としては「立派な人間になる人は、学問を通じて友達を作り、友達を通じてお互いの人徳を高め合う」でいいでしょう。

 現代はオンデマンド配信などを利用すれば、学びたい人はいつでも学べる環境が整いつつあります。社会人になっても学びを求める姿は尊いものがあります。学習欲。学習欲というものは数多くある欲の中でも高級な扱いを受けますが、欲は欲なのです。再度、『論語』の「君子は文を以って友を会し、友を以って仁を輔く」を見てみましょう。

 孔子の説く道徳観念の「仁」には、克己・自己抑制の意味もあります。欲に惑わされず、本当に自分にとってためになる環境・友達・学びを得るために、私の失敗談をお伝えします。

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