その方法とは、「ありがとうございます」です。皆さんもよくご存知の「謝謝(シェエシェエ)」です。中国人や華僑たちは口癖のようにこの「謝謝」を連発します。日本語的な直訳でいくと「ありがとう」「ありがとう」と連呼しているようなイメージです。 

 華僑たちは異国の地で言葉がままならない状態で生活をしますので、何をやってもらってもまずは「謝謝」と感謝の言葉を口にします。たくさんの国に華僑たちが進出していますので、「謝謝」の意味を多くの人が理解しています。日本においても「謝謝」と言われれば、ありがとうと言われたというのは多くの人がわかるのではないでしょうか? 日本語で言うところの「ありがとう」を連呼連発する訓練をすることによって、怒らないようになっていくのです。ここにまさに“ずるゆる”の奥義の1つが隠されています。

痛い目にあっても「ありがとう」が正解の場合

 筆者は華僑たちと過ごすようになって、この「ありがとう」が自然に身についていることに気づき、それによって大きく得をしていることを発見しました。あまりいい話ではありませんが、つい先日、私の知人が駐車違反のきっぷをきられたときの話を事例としてご紹介します。

 モノを届けるだけの用事だったので、すぐに戻れば大丈夫だろうと考えた彼は、車を駐車場に止めずに路上駐車して友人宅を訪ねました。その間10分くらいだったでしょうか? 友人が見送ってくれるということで一緒に車まで戻ると、今まさに警察官が彼の車のフロントガラスに黄色い張り紙を貼っているところでした。

 条件反射のように友人が「ちょっとちょっと、僕はここの住人でみんな停めてるよ、違反きっぷなんて聞いたことがない」と言って、警察官に詰め寄ろうとしたので、彼は知人を止めました。「ありがとうございます」。険しい顔をしている警察官の顔が一瞬だけ柔らかくなるのを彼は見逃しませんでした。

 「いや~。お巡りさんご苦労様です。私はちょっとした用事なら路上駐車をするくせがあり、これはよくないと自分でわかっていました。路上駐車は通る車や歩行者の人の視界不良になり、事故を招く原因になります。ゴールド免許が密かな私の自慢でしたが、残念です。ですが、お巡りさんが今回違反きっぷを切ってくれたおかげで、これからは絶対に路上駐車はしない、と今心に誓いました。本当にありがとうございます」

 ここまで一気に話すと、二人いた警察官は笑顔で「みんながそう思ってくれると、飛び出し事故などが減って助かります。私たちも憎くてやっているわけではないんでね。気をつけて運転してお出かけくださいね」と、彼のその後の運転まで気遣ってくれました。

 駐車違反やスピード違反は、多くの人がやっているのに自分が見つかるなんて不運だ、と考え、警察官に怒りをぶつける人も少なからずいると聞きます。ですが、そこで「イラっと」することに何のメリットもありません。ましてや口論をふっかけるようなことをすれば、警察官の本来の仕事の邪魔にもなりかねません。

 「一事が万事」とはよくいったもので、このように痛い目にあったような場合でも、それに気づかせてくれた相手に「ありがとう」と伝えることによって、交渉が上達していくのです。