アンフェアな人は、この質問に答えない

 ビジネス現場において、「あなたにとってこれはとてもメリットがあります。だから、この話を進めましょう」、というのはよくある話です。お願い事がある人は、こちらのメリットを並べながら近づいてきます。

 そんな時の華僑の一発逆転の質問は「あなたのメリットは何ですか?」。この質問に対して答えない人のお願いは聞かないほうが賢明です。ビジネスにおいても、プライベートの人間関係においても長期継続が前提です。お互いのメリットがかみ合わないと長続きは不可能です。この点において、自分のメリットを隠す人は、フェアではない駆け引きをしてくる可能性があります。

 メリットがあるというのは別に悪いことではありません。付き合いを継続させていくために、お互いにメリットを言い合えばいいのです。フェアではない人かどうか探るためには、「あなたのメリットは?」と質問して狡さを出せないように牽制すればいい、ということですね。

中国古典にみる「自分のメリット」のうまい伝え方

 この、相手のメリットを聞く、というのは華僑同士では当たり前のことですので、皆あらかじめ答えを用意しています。華僑たちはそのうまい伝え方を中国古典から学んでいるのです。

 一例として、春秋左氏伝の「我を貪らざるを以って宝と為す。爾(なんじ)は玉を以って宝と為す」を見てみましょう。

 宋の国の村人が宝玉を手に入れたので、常々尊敬している司城の子罕(しかん)にその玉を献上しようとしました。ですが子罕はこう言って受け取りませんでした。

 「あなたは玉を宝とするが、私はその玉を自分のものとしない心を宝とする」

 「あなたの玉を私が受け取れば、あなたも私も宝を失うことになる」

 子罕の高潔さを讃えるエピソードとして有名ですが、「ずるい=賢い」「賢い=ずるい」と常々口にしている華僑が感動するのはそこではありません。子罕の表現のうまさです。相手の提案を断るにしても、相手を尊重しながら自分のメリットも分からせる、実にハイレベルな表現です。

 子罕に断られた村人は次のように嘆願しました。

 「私のような身分の低い者がこのように目立つ立派な玉を持っていては、盗賊に狙われてしまいます。私が無事に村へ帰れるように、どうかこの玉を受け取ってください」

 そこまで言われた子罕は、玉を受け取り、それをすぐに売り、その売って得たお金を村人に与えて帰らせました。