「わかってくれたかい? R君がしていることはこういうことなんだ。相手の言いたいことはわかった、だからもうそれ以上、その人の話を聞く必要はない、という態度になってしまっているんだよ」

 「そうですね、理解できました。そこは改めます。ですが、言い過ぎかもしれませんが、彼ら彼女らの提案は稚拙に感じることが多くあります。会議の効率化を考えても良くないと思うのですが」

 「それはR君にとっての効率だよね。会社にとっての効率だろうか? 会社は効率を徹底するために集団で動いているわけではないんだよ。3年先、5年先、10年先につながるような行動が求められているんだ。その中に当然、若い仲間や新しく部署が変わって慣れない人に幅広く業務を理解してもらって、将来的に会社に貢献してもらえるようにすることもとても大切なことなんだよ」

 「おっしゃる通りです。ではY課長、私は今後どうすればいいのでしょうか? 課長は私の心をすべてお見通しなのですね、なんか恥ずかしいです」

「あえて黙する」を覚えれば、飛躍できる

 「さすがR君、頭の回転が早いね。人が自分のことをすべてお見通しと分かれば、恥ずかしい気持ちになったり、やるせない気持ちになったりするよね。まずはそれをやめてみようか。5分で企画意図がわかったとしても、ハイハイそれはわかってるよ、というのをやめてみるだけでR君は仕事ができるのだから尊敬の対象になると思うよ、しっかりと話を聞いてくれる人だって」

 「とても恥ずかしいです、今日は午後から有給をいただいて明日から出直します」

 「R君、そんなことしたら、みんなが君のことをまた警戒するよ。みんなの今までの気持ちを理解するためにも、今日1日午後からも頑張って会社で仕事をしたらどうかな」

 「はい、かしこまりました」

 あの面談から3カ月が過ぎた現在、Rさんは気付いたからといってすぐにそれを制止したりするのではなく、しっかりと話を聞く皆から好かれる課長補佐になっています。

 “ずるゆるマスター”のYさんは、最初からRさんの言いたいことのほとんどを理解していました。ですが、それをすぐに指摘するのではなく、自分で気付かせることによって、自分で気付くことの大切さを授けました。また、知っているからといって、それをダイレクトに相手に伝えるのは得策ではない場合も多くある、ということを理解してもらうことにも成功しました。

 あなたの周りにいるあの人も、実はすべてを知っているにも関わらず、それには触れないだけかもしれません、あなたが警戒しないために。それは何も社内に限った話ではありません。お客さんも配偶者も親も子もみな、“ずるゆる”を学んでいる人は黙って知らないふりをしているだけかもしれませんね。

 あなたも今日から華僑“ずるゆるマスター”の座右の銘の1つ「言いて当たるは知なり。黙して当たるもまた知なり」を実践してみてはいかがでしょうか?