Xさん「B部長、一度折り入ってお話があるのですが、お時間をつくっていただけないでしょうか? アポイントをとらせてください」

 B部長「はははっ。どうしたのX君。同じ会社の人間同士が話するのにアポイントなんていらないでしょ?」

 Xさん「いえ、先日の合理化会議で部長級以上の方との面談は1週間前にアポイントをいれるように、と決まりました」

 B部長「はははっ。そうだったね。そんなルール意味あるの? って僕が言ったらいけないね、抜け道だらけだな(笑)。偶然会ったことにしよう、今晩、例の店で」

 Xさんが例の店に着くと、B部長はもう飲んでるよと言わんばかりに少し赤い顔をしていました。「X君。わかってるよ、辞めたいと思ってるんでしょ、ルール、ルールで仕事に生きがいを感じられなくなった、図星でしょ」

 Xさんは大きく頷きました。それと同時に鞄からBさんはノートを出し、テーブルの上に広げました。そこには、合理化会議で決められたルールの数々が書かれていました。「ルール化されたら、そこには必ず抜け道が生じる、完璧なルールというものはないからね、1つずつ説明していくよ」。B部長はニヤリ、と笑いました。

 「次に私語は厳禁。これは残業をさせないための工夫だよね、要は時間の無駄遣いをやめろ、ということだね。昼食タイムは今までは皆が外食していたと思うけど、週2回は出前をとったりコンビニ弁当にして、『なんちゃって会議』を昼ご飯を食べながらすればいい」

 「始業中はスマホを見てはいけない。これはある意味当たり前の話なんだけど、抜け道はあるよ。パソコンにLINEやショートメールのアプリをインストールすれば、スマホを見なくても同じものがパソコンに向かったままでできる。最近では、仕事の話もLINEなどでやり取りする時代だからね」

 このようにすべての合理化会議で決まったことの抜け道を“ずるゆるマスター”のB部長はXさんに伝授しました。そしてすべての抜け道を説明し終わったと同時に、Bさんはノートをちぎってそのページをビリビリに破きました。

 「X君。合理化会議で決まったことはすべて紙の上のものだ。だから、この紙は破いてしまってもいいんだよ。今まで通り、課内のみんなとの人間関係を第一に考えて頑張って欲しい、1つ注意して欲しいのはルール違反をしてはいけないよ」

 Xさんは涙を堪えることができませんでした。「部長ありがとうございます! やはり私この会社のこの仕事が好きです」。翌日からXさんは“ずるゆるマスター”のB部長から教わったことを早速実行に移しました。営業3課が元通り笑顔であふれるのに2週間もかかりませんでした。

 あなたの周りにもたくさんのルールが存在するでしょう。ルール違反は社会人として、人間としてやってはいけないことです。ですが決まりごとには必ず抜け道があります。決め事がなければ柔軟な対応が可能になります。人の悩みにも、会社の悩みにも、必ず抜け道があるのです。人のため、会社のために抜け道を探すのは悪いことばかりではないのです。

 “ずるゆるマスター”を目指すあなたの抜け道は、できるだけルール化しないことによって実現するでしょう。