部下を「陽」に立たせる誘導質問

 それでは“ずるゆるマスター”の事例を見てみましょう。

 Tさんは最近よくため息をつくようになりました。多くの中間管理職がそうであるように、上と下との板挟みになっています。

 上長からは、もっと若い人を鍛えるようにと言われていますが、世相を反映して超過残業は禁止という御達しがあります。子供の先輩に当たるくらいの年齢の部下は何を考えているのかわからず、伝えたことがちゃんと伝わっているのかよくわからないというジェネレーションギャップに悩まされています。

 悩んでいても仕方ないので、役員の呼び声高い最年少部長“ずるゆるマスター”のKさんに相談することにしました。

 「という感じで、上から下からと非常に苦しい状況にあります」

 「正直に話してくれてありがとう。T君は課長だから上司は次長や部長になるね。そして部下は課員のみんなになる。まず部下のみんなをまとめていくことから整理していこうか。直属の部下は何人になるのかな?」

 「そうですね、私の所属する2課は総勢15人ですが、課長が2人おりますので、私の直属は7人になります」

 「7人だったら、個別の面談も可能だよね」

 「はい、おっしゃる通りです。週1回は一人ひとりと面談をしておりますが、特に20代の2人は何を考えているのかさっぱりわかりません。デジタルネイティブ世代ですので、彼らのSNSなどもチェックするようにしているのですが、先日、私の薄くなった頭頂部のことでしょう、カッパと揶揄しているのをみました」

 「そうなんだね、それは単なる悪ふざけで済むことだと思うけど、機密情報やお客さんに関わることなどを匿名だからと言って気軽に書いたりすることはしっかりと釘をさしておかないといけない」

 「ですが、彼らはハンドルネームを使っていますし、プライベートなことまで踏み込んでくるのか、と信頼関係が壊れそうです。ただでさえ、信頼関係ができているのかわかりませんし」

 「それはT君が陰陽の陽から彼らに発言するから、彼らにしてみれば監視されていると感じる。どんどん彼らに話させるべきなんだよ」

 「はい、わかります。ですが、なかなか業務のこと以外を話してくれないのです」