ここまでのいい条件を断る人はいないでしょうし、八割ももらえるなら、その人は利益を出すために頑張ります。誘ったほうは、成功体験を積めるだけでなく、勉強にもなり、誘った相手の人脈も使えるのです。

 社内の人をプロジェクトなどに誘う場合も同じです。その人の実績になるようなプランを考え、評価を上がるように協力します。一緒にすることができたら、誘った相手から「得をさせてくれた使えるやつ」と評価されるでしょう。今度、その人が何かビジネスを始める時に、声をかけてくれるかもしれません。その場合は、自分の取り分をどんどん増やして、最終的にはパートナーに昇格することもあり得ます。

 このやり方は華僑の師匠もよく話します。「結局、ビジネスを誰かに教えてもらっても、儲けはすべて自分の取り分だと思っているから、いつまでたっても成功しないんだ。教えてくれる人にはどんどん儲けをあげたらいい。華僑はよくそういうことをやるよ」と。

 相手の利益になることを率先してやる、ということは行動的でもあるにも関わらず、何かあった時に、「陰」の位置に立つこともできます。実績は相手に渡すことを前提に動くからです。

 この考え方は少々ずるいと感じたかもしれませんが、華僑たちの口癖の「ずるい=賢い」「賢い=ずるい」に相通ずるものがあります。とはいえ、ずるさ一辺倒では評価されないのが日本社会です。ですので、本コラムはずるさをゆるくいかせてもらいますということで「ずるゆる」なのですね。

「陰」のポジションは情報収集にも最適

 華僑には何でもかんでも利用してやろう、という考えがあります。誰しも人の愚痴を聞くのはうんざりするものですが、それさえも喜んで聞いたりします。

 人には話したい欲求があります。「ウンウン、そうなんですね」と聞いていれば、「私はこんなことが嫌いなんです」から始まり、「誰それが苦手なのです、なぜなら人にはわからないように、こんなことをしている人ですから」と秘密の情報収集までできてしまうこともあります。

 社内でコーチングやカウンセリングを実施している企業も増えてきましたが、聞いている方がストレスを感じていることが多いと聞きます。ですが、華僑の場合は「得をしている」「情報収集できる」と思いながらコーチングやカウンセリングを実施します。

 相手が愚痴や嫌いなことを話してくれれば、その反対をしてあげれば、そんなに近しい仲でなくとも、味方にすることが容易になります。しかも話しているのは愚痴を言っている人ですので、自分は安全な「陰」のポジションから動かなくても良い、ということになります。

 ここぞという時や、勝負をかける時は、「陽」の位置どりをしても問題ありません。ですが、チャレンジしろと言いつつ、失敗をしたら、ミスした人の烙印・レッテルを張るのも日本社会の特徴ですので、できるだけ「陰」にいるようにするのが得策です。

 「陰」は何もしていないように見えますが、実はたくさんの情報収集と情報や情勢の分析をしています。情報、情勢の分析ができ、それを周りに悟られない、負けない戦というのをお分かりいただけると思います。