以前、華僑の部下と話していたら、なぜか報酬をアップすることになってしまったことがあります。一度言ってしまったら、それを撤回すると私のメンツが立ちません。彼らはそこまで計算して、ミスを引っ張り出すのです。

 その時の手口は、こうです。「妻が最近、体調を崩しています」「中国に残してきた母が病気で非常にお金がかかるのです。歳が歳ですので、働くのもままなりません、なので、妻が夜も働きに出ています」。15分間の間に彼が発した言葉はこれだけです。それ以上は何も話さず、黙っています。「陰」のポジションを死守しているのですね。

 二人きりで話して相手が「陰」のポジションを死守すれば、私が「陽」にならざる得なくなり、相手をおもんぱかるようなセリフを次々に言う、言わされるという会話になります。

 別の華僑の場合も似ています。クレーム処理をしにいった部下から報告を受けた時も、部下は「クレーム処理に負けました」というだけで、どう負けたのか、そこで何があったのか、全容をなかなか話しません。

 それを聞き出そうと、しゃべらされていたのは私の方でした。部下は「例えば……」と言ったかと思えば、黙る。すると、私は「例えば、こういうこと?」と二の句をついでしまい、しまいには、「それはお前の責任じゃないよ」と、彼を慰めていました。

 最終的な彼の目的は、クレーム処理に負けたことは自分のミスではないというところに持って行きたかった。それを私の口から言わせるのが狙いです。

 「それはお前の責任じゃないよ」と言ってしまった時点で、私は彼に対して、それ以上の責任を追及することができなくなってしまいました。

 このように、話をするときはすべてを一気に語らず、小出しにして、相手が会話を続けやすいところで終わらせることで、相手を「陽」の立場に持って行くことができます。

 「陽」の人は「どういうこと?」と、「陰」の人から聞き出そうとしますが、それに対しての答えも100%言いません。「陽」の人に想像させて、いろいろ話させることで、思考回路を裸にしていくのです。「語らない」ということはそれだけのパワーがあります。

「勝っている人」を仲間にする方法とは

 自分から何かアクションを起こしたい場合は、「陽」の立場からのスタートになってしまいますが、やりたいことの経験者を仲間に入れることでいいポジションどりができるようになります。経験者の中でもすでに勝っている人と組めば、勝たせてもらうことができて、勝ち癖の感覚もつかめます。そういう時のために、華僑は日々、人の情報を収集しています。

 ではどのようにして仲間に迎え入れればいいのでしょうか? 「このビジネスについて教えてください」と頼むではなく、「全部自分が動きますし、利益の八割はあなたにあげます。一緒にやりましょう」と誘うのです。