組織サバイバルでスキルを凌駕するのは「勢い」

 日本人の文化的背景や思考を嘆いていても仕方ありません。スキルよりも大切なものを優先して、武器を使わない戦争と喩えられるビジネスに勝つ方法を実践していくべきです。

 スキルよりも大切なものとは、「勢い」です。日本でも人気の兵法書の『孫子』に次のような言葉があります。「善く戦う者は、之を勢に求めて人に責(もと)めず」。意味としては、うまくいく人は、何よりも勢いを優先させ、個々人の能力を重視しない、でいいでしょう。まず何よりも、勢いに乗ることが優先されるのです。 

 誰しも経験があるのではないでしょうか? 「彼の力であれをやってのけたの? 神がかっているよね」「彼女のあの勢いを止めることはできないよね」などなど。麻雀をする人ならなんとなくわかりやすいかもしれませんが、強いか弱いかよりも、その時の勢いで半荘くらいなら勝敗が決まってしまいます。それくらい勢いというものは、スキルを凌駕するものなのです。

 勢い、というものはどのようにしてつくのでしょうか? “ずるゆるマスター”の事例を見てみましょう。

「好き」か「得意」か。勢いを加速させるのは?

 Fさんは困っています。

 痛勤電車と揶揄されることもある電車通勤で往復で2時間半をかけて毎日通い、残業や休日出勤も断ったことがありません。自他共に認める真面目さを取り柄として、ビジネスパーソン人生を歩んできました。またその真面目さがそれなりに評価されているのも頑張りの一つの原動力になってきましたが、昨今の働き方改革は戸惑うことばかりです。売り手市場と言っても、それはごく一部のITスキルを持った人や若い人に限定されます。

 「これからまだまだ続くビジネスパーソン人生をどのように生き抜いていったらいいのだろう、混乱するばかりだ。スピードの時代と言われて、自分としてはマックスのスピードで走っている自覚はあるけれども…」

 悩んでいても仕方ないので、“ずるゆるマスター”のY部長に相談することにしました。Yさんは役員間違いなしと噂されている最年少部長です。

 「という訳で非常に混乱しております」

 「正直に話してくれてありがとう。F君は真面目に働いてきたのは私も知っているし、社内のみんなも知っている。インターネットの普及で、役職の違いによる情報格差はないに等しい状況にある現代においては、スキルよりも勢いがとても大切なんだよ」

 「勢いですか?」

 「そう、勢い。得意なことをどんどんやっていくべきなんだよ。F君は企画部所属だけど、得意なことことはなんだい?」