①ごく親しい友人

 親友から信用されたい、信用されてもいいと思うのは当然のこと。ですが、日本人がイメージする親友と華僑のそれは同じではない、と言う前提をお伝えしておく必要があります。「信用」のリスクを知る華僑同士では、お互いに「どんな頼みごとも引き受ける」「どんな困りごとも助ける」覚悟がなければ親友とは言えないのです。例えば相手がビジネスで失敗してお金の工面に困っている場合、自分が借金してでも助けるのが華僑的親友関係です。

 そんな華僑は、仕事のことに親友が口出しすることも歓迎します。日本人同士なら、お互い仕事のことには口出ししないほうが友情が長続きすると考えるのが一般的ではないかと思います。しかし華僑にとっては、ビジネスもプライベートもひっくるめて信用・信頼して付き合うのが本当の友情なのです。だからこそ華僑は「信用は自己責任」だと考え、相手に寄りかかろうとはしません。

②自立している人

 相手に寄りかからない、つまりお互いに自立していることが信用のベースだということで、友人関係でなくても「自立しているかどうか」は華僑たちの信用の基準になっています。

 自立している人は、仕事を依頼するときでも、検証作業を依頼する傾向があります。例えば、困ったときにその出来事に対しての対応策を自分なりに考え、それらの仮説の検証を手伝って欲しい、という態度の人を自立している人と見ます。仮説の検証作業なら、ノウハウの蓄積や情報収集にもなりますので、手伝ったほうが得をします。一方、自立していない人は「どうしましょう、困りました」「できません、助けてください」。これでは依頼ではなく、単なる丸投げです。

 周囲から信用されやすい人は、責任感が強い人でもありますので、こういった丸投げをされることがあります。責任感が強いがゆえに、代わりにやってあげるようなサイクルになるのです。華僑は丸投げタイプとはうまく距離を取り、信用されないように常に警戒しています。丸投げタイプは、整理がされていないのが大きな特徴です。日頃から雑談などでもちゃんとオチのある話をしているかいないか、必要な書類がすぐに出くるか出てこないか、など、あらゆるところにその兆候が出ていますので、意識してウォッチしているとわかるようになります。

③自責の人

 自責の人とは「騙される方が悪い」という世界のスタンダードな考え方を理解している人です。日本は島国で他国との行き来が難しかったという地理的要因や鎖国を長くしてきたという歴史もあり、ほぼ単一民族で構成されていますので「騙す方が悪い」という感覚でビジネスパーソンも過ごしています。ですが、世界の多くの国では「騙される方が悪い」が一般的です。

 これには理由があります。一般的なコミュニケーションをしていれば、騙すのは簡単ではありません。騙す人が狙うのは、欲のある人です。もっとわかりやすい言い方をすると欲深い人をターゲットにします(このコラムはビジネスパーソンを対象としております。お年寄りや子供には当てはまりません)。騙されたと叫んだが最後、私は欲深い人間ですと表明していることにもなりかねません。

 また自責の人は嘘に対しても寛容です。嘘には2通りの嘘があります。詐欺師たちが使う最初から嵌めること、陥れることが意図された嘘と、結果的な嘘です。結果的な嘘とは、できると思ったけれどできなかった、間に合うと思っていたけれども間に合わなかったなど、わざとではないにしても、これらもビジネス上は嘘を言ったことになります。意図されたものでも意図されていないものでも嘘は嘘です。そのどちらの場合であっても、あらゆる場面を想定している自責の人は、相手を責めることはありません。それはどちらの嘘であっても、責めても問題解決にはならないことを知っているからです。 

 上記の3通りの人以外からは信用されないようにしているのが、華僑なのです。

「全体と部分」を認識して安請け合いを回避

 このあたりをしっかりと実践するためには、全体と部分の違いを頭にしっかりと叩き込んでおく必要があります。全体否定と部分否定。全体肯定と部分肯定。

 まずは全体否定と部分否定。これを分けて考えられない人の特徴は、すぐに落ち込む、自信が持続しない、すぐに怒る、などが挙げられます。例えば「ここに誤字脱字があるよ」と指摘されたら、「自分の書く企画書はダメなんだ」「自分はこんなこともミスしてしまう」と、ごく一部の部分を否定されているだけの場合でも、勝手に飛躍解釈して、さも全体が否定されたかのような感情を持ちます。