日本人から見れば華僑は外国人ですので、当然ながら華僑としては日本人に受け入れられなければなりません。そこでも大切になってくるのが、まず自分から日本人及び日本の文化を受け入れることなのです。「受け入れる」と「受け入れられる」がセットで双方向ですので、人間関係を築くのが早いのです。

 受け入れられるために、まず受け入れる。しかも自分から相手を選ぶことはしない。この後詳しく説明しますが、選ばずに受け入れるメリットは、リスクヘッジとリソース活用の両面をカバーできることです。

考え方が違うからこそ、受け入れる意味がある

 まずはリスクヘッジの観点から。あなたは、日ごろ付き合う人を選んでいないでしょうか? 自分と考え方や価値観が似た人とは付き合いやすいですが、そういう人ばかりを選んで付き合うと、必ず偏りが生じます。それは「思わぬリスク」が増える原因ともなります。「まさか、こんなことが起きるなんて!」「まさか、そんなことを考える人がいるなんて!」思わぬ出来事に遭遇したり、思わぬ人に騙されたりして慌てふためく。そんな場面が多いほど、ビジネスパーソンとしてのリスクは大きくなります。

 考え方が違う人と付き合うのはストレスだという人も多いですが、私は一緒にビジネスをしている華僑からこんなことを言われて「なるほどな」と思いました。「私とあなた、考え方違うけど、違うから一緒にビジネスやる意味がある。もしあなたが私の言うことぜんぶ賛成、ぜんぶOKだったら私だけでいい。そうじゃないからあなたが必要。逆もそうでしょ」

 自分と他人の違いを認めて受け入れるというより、むしろ違いを積極的に取り込んで利用しようとする。能動的かつ貪欲な姿勢は「さすが華僑」。ですが、彼のように考えればリスクが減るだけでなく、人間関係もぐっと楽になります。

華僑流では、優秀かどうかは関係ない

 次にリソースの活用ですが、華僑がダイバーシティ的思考をもつようになった背景には、そもそも「人を選びたい」などと贅沢を言ってはいられない状況があります。だから華僑は、少ない持ち駒をすべて生かして、どんな人材でも自分が成功するために利用するのです。

 しかも、できない人はできないままでもいい。仕事ができない人であっても、それはそれで使いようがある。「華僑流ダイバーシティ・マネジメント」においては、どんな人材でも利用できるのがレベルの高いマネジャーとされるのです。華僑流が欧米流とひと味違うのはここです。

 ダイバーシティ・マネジメントをはじめ、欧米流のビジネス論は、高学歴のエリートをどう生かすかという前提で成り立っています。しかし、華僑流は、エリートであろうがなかろうが関係ありません。まさにすべてを受け入れる理論なのです。

 優秀な人や、自分と相性のいい人とだけ仕事ができたらラッキーですが、現実はそう甘くありません。あの人は嫌だ、この人とはやりにくいなどと文句を言うより、誰でも受け入れて利用する華僑流でマネジメント能力を磨くほうが、ずっと得なのではないでしょうか。