うまくはめれば他人も動く

 では、具体例を見てみましょう。

 物流会社に勤める“ずるゆるマスター”の課長Fさん。Fさんが同期で一番早く課長になれるのを後押ししてくれた恩人のL部長が、最近浮かない顔をしている時間が多いのがとても気になっていました。

 Fさんは早速タイミングを見計らって、L部長を飲みに誘いました。まずはリラックスしてもらうためにおちゃらけからスタート。

 「L部長。早く役員になってくださいよ、そして後釜の部長に是非、私を」。

 「(苦笑)F君、君は優秀だからいいけどさ、他の課長連中、どうにかならないかな。ここだけの話、このままだと役員どころか部長でいられなくなるかもしれない」

 「なるほどですね、部長は部内全部の責任者ですから、そのお気持ちお察しします」

 「先日、鬼のZ専務から嫌みをいわれたところだよ。それに中学2年になった長男の成績がイマイチで女房ともギクシャクしちゃってさ」

 「恩人のL部長のため、私Fが責任をもって解決させていただきます。つきましてはかくかくしかじかですので、この4つをさせてください、部長にはぜひとも役員になっていただきたく思っておりますので」

 Fさんは翌朝から早速、L部長から昨夜聞いた情報を元に、アクションシートを作成しました。朝は得意先訪問など利益に直結する事から始め、経費精算やメールチェックは夕方以降という課長の仕事の決まりを、経費精算は朝に、メールチェックは昼食後にするように変更しました。

 今まで自己評価が低いと感じているであろう課長たちへ、部長名で回覧を回しました。その内容は次長昇進のために必要となるスキル表です。その達成度合いを勤務評定の一番にすることを明記するのも忘れません。

 また、課員たちへの仕事の割り振り手順書を部長に作成してもらい、課長たちが仕事でアップアップの状態にならない様に、チーム力を高めていきました。そして、課員たちには、課長に相談しなくても直接、部長に相談できるフォーマットをつくり、それを後で課長にフィードバックできる書式を整えました。