生み出す力を左右する「調和」と「同調」

 「そこだよ。バランスを取るときに、『調和』と『同調』を混同してはいけないよ」

 「調和と同調の違いでしょうか? 同じ意味のように感じますが……」

 「似ているけれども、意味としては全く違い、ある意味、真逆の効果が出る。中国古典の『国語』に次のような言葉がある。『和は実に物を生じ、同は則ち継がず』だ。意味としては調和こそは万物を生み出すものであって、同調は一方的で生産性を継続する力がない、でいいだろう。同調は、生産性を下げるんだよ」

 「いい状態の調和とはどのようなイメージでしょうか?」

 「オーケストラをイメージするとわかりやすいかな。それぞれ別々の楽器を一つのパートとして演奏する。それらが組み合わさって、素敵な音楽になる。例えば、バイオリンの担当者がトランペットにつられて同じメロディーを奏でてしまえば、音楽としてチグハグになってしまうよね? だからリーダーや管理職は部下たちがそれぞれのパートをきちんと担うようにしっかりと指揮者のようにしなくちゃいけない。みんなが自分の役割を果たしている状態が調和が取れている状態だね」

同調圧力をかける部下こそ救済すべし

 「調和が取れた状態というのは良くわかりました。と考えますと私のグループの弱点は同調圧力がかかっているのかもしれません」

 「それはどういうことだい?」

 「そうですね、誰かが休暇を取れば、それにつられて他の人も休暇を取り、チームが回らなくなったことがあります。また、早帰りデーに一人が残業していると、皆が帰りにくいのか、全員が残業してしまっていることもあります」

 「なるほど。同調圧力。それは特定の人かい?」

 「はい、そのように感じております。調和するためには、やはり彼をやんわり排除した方がいいのでしょうか?」

 「そんな必要はないよ。同調を強いるのは、何らかのSOSのサインなんだよ」

 「SOSのサインですか?」

 「同調圧力をかける行為というのは、心の弱さの表れだ。弱さをガードしているつもりでも、常に人が離れていくことを心配しているのが内心だよ」

 「言われてみると、確かにそうですね」

 「同調圧力をかける人に対しては、安心させてあげることでそれは解決できる」

 「安心ですか?」

 「そう。仕方ないよね、とか、こうしないとダメだよね、と同調圧力を周りにかけるのは、自分だけ浮いてしまったらどうしようという不安感からきている。さっきも言ったけど、常に人が離れていくことを心配しているから臆病になってしまうんだ。心配、臆病という病は、答えを示してあげるという安心の薬が一番効く」