短期的な成果を重視するのであれば、人格は二の次になってしまいますが、チームの調和をはかり、チームの空気をクリーンにし、チーム全体をレベルアップさせるためには、人格重視で要所を押さえた方がいいということになります。

 では人格がいいとはどのような人を指すのでしょうか? ビジネスパーソン的には極端な偏りがなく、バランスが取れている、というのが望ましいです。バランスが取れる人材は、全体的に見ても、長期的に見ても、リーダー向きです。リーダー自身がバランスを意識することはもちろん、チーム内の要所要所にバランスが取れた人を配置することで、自然と全体がうまく回るようになるでしょう。

個を尊重しながらチームをまとめるには?

 それでは“ずるゆるマスター”の事例を見てみましょう。

 Sさんは困っています。管理職として時短と作業効率の向上を両立させましょう、の業務命令が本格的になってきました。

 「大手以外の企業もIT化に伴うグローバル競争が激化してきている。私たちのように新人時代はパソコンが使えなくても、なんの支障もなかった世代には、今のビジネス環境は酷だよな」

 今でこそ、スマホやタブレット、ノートパソコンの普及とWi-Fiの整備でいつでもどこでものユビキタス社会になっていますが、10年前には考えられないことでした。

 「昔のように朝礼から始まり、夕礼や会議、赤提灯で膝と膝を突き合わせてじっくりと話せるような雰囲気じゃなくなってるし。ダイバーシティが当たり前になり、個人の価値観も尊重しながらも、チームはまとめろ、というのは考えただけで頭が痛くなる。そうだ、D部長に相談してみよう」

 D部長は役員間違いなし、と噂されている“ずるゆるマスター”です。

 「というわけで非常に困っています」

 「正直に話してくれてありがとう。そうだよね。今の時代は個の時代といわれ、個人プレーが目立つようになってきたし、SNSなどで自由自在に発信できる今の時代は、逆に息苦しいと感じることもあるだろう。でも、今一度思い出して欲しいのだけれども、会社は一人では成し得ないことを実現するために複数の人間が集まっている。個人プレーありきではない」

 「おっしゃる通りです。ですが、報告もほぼメールで完結します。部下たちが何を考えているのかも把握しづらい状況です」

 「チームを操るためには空気が大切だ、と話したのを覚えているかい?」

 「はい、もちろんです。『全体』と『個』の把握の両方がとても大切、というお話でした」

 「よく覚えているね」

 「ありがとうございます。バランスが重要になります」