会議の場でも、チーム内や個人間のやりとりにしても、やたらと議論をしたがる「議論好き」な人は迷惑な存在です。議題がややこしいわけでもないのに、議論好きな人がかき乱すのでなかなか決まらない。人の意見に必ず反対して議論をふっかける人のせいで活発な意見交換ができない。そういった困りごとに直面している人もいらっしゃるでしょう。今回は、迷惑な議論好きを上手くあしらう華僑流の処世術をお伝えしたいと思います。

 もちろん、議論することによって多様な意見が引き出されたり、盲点が明らかになったりするなど議論のメリットはたくさんあります。周囲にとって迷惑となるのは、議論することを目的に議論を挑む「議論好き」です。分かりやすいのは好戦的な人です。人の提案や意見の粗探しをして議論に持ち込む、このような人は「議論好きです」「面倒かけます」と顔に書いてあるようなものですので、周囲もそういう人だという前提で距離を置いて付き合っていることが多いでしょう。

 また、「君はどう思う?」と意見を求めておきながら、相手の意見が自分と違えば「それは違うんじゃない?」と論破しにかかる人もいます。相手の意見を尊重するように見せかけて自分の考えを押し付けようとする、このようなタイプは一見分かりにくいので、距離の取り方に注意が必要です。

 いずれにしても、議論に勝つことで自尊心を満たそうとする傾向があるという点は同じです。根底にはコンプレックスがあったり、早く結果を出そうとするがゆえの焦りがあったりするので個々を見極めて対策するのがベターですが、共通して言えるのは「議論好きを議論で言い負かしてはいけない」ということです。言い負かせばしつこく仕返しをされ、邪魔をされるのは目に見えています。議論好きのターゲットになって得なことなど一つもありません。

「不敗」のポジションで戦わずして勝つ

 議論好きとは関わらないのが一番ですが、そうもいかない場合、直接戦わずにこっそり勝つ方法を知っておけば安心です。

 「戦わずして勝つ」といえば、『孫子の兵法』。日本でもメジャーな中国古典の一つですから、ご存知の方は多いでしょう。孫子は、勝つといっても、自軍にも敵軍にもダメージが少ない勝ち方が良い勝ち方だと伝えています。それには敵の戦意を喪失させるのがベストですが、圧倒的な力の差がない限りなかなか難しい。

 そこで重要なのが、勝ってはいないが負けてもいない「不敗」の状態を保つことだと孫子は説いています。自らは不敗の立場にあって、敵の敗形に乗ぜよと。つまりこちらは守りを固めて隙を見せず、相手に隙ができたところで仕掛ければいいというわけです。

 華僑はこの考え方をベースにしつつ、さらに慎重です。味方の少ないアウェーでお金儲けをしようとする華僑にとって、分かりやすい勝敗はリスクです。はっきりと相手を負かしてしまえば敵を増やしますし、負ければ利益を奪われてしまいます。ですから相手に隙があっても自分が直接攻めることはしません。相手が自滅したような形にもっていくことを考えます。