上司を3タイプに大別すると対処が容易に

 それでは“ずるゆるマスター”の事例を見てみましょう。

 この春の辞令で営業部から営業業務部に異動となったTさんは困っています。

 今までいた営業部は数字が評価基準の第一になっていたのでわかりやすかったのですが、営業業務部は、仕入れ部や経理部、人事部、そして元いた営業部との連携が求められ、各部署に対してどのように対応していったらいいのかわからなくなっています。というのも、営業業務部が担当するのは各部署の自分よりも職階が上になる上司とのやりとりが多く、臨機応変な対応を求められるからです。

 「悩んでいても仕方ない、Q部長に相談してみよう」

 Qさんは役員間違いなし、と噂されているやり手の“ずるゆるマスター”です。

 「という感じで非常に困っています」

 「なるほど、正直に話してくれてありがとう。今もそうだけど、私も今までたくさんの上司のもとで働いてきた。その経験から言わせてもらうと上司には大きく分けて3つのタイプがいる」

 「3つのタイプですか?」

 「そう、3つのタイプに分けるとわかりやすいよ。まずは悪徳上司」

 Qさんはいたずらっぽくウインクしました。

 「あ、はい。悪徳上司ですか……」

 「T君も悪徳上司には困っていると思うけど、実はこのタイプは一番対処が簡単なんだよ」

 「えっ、そうなんですか」

 「今は縦横無尽に好き勝手しても、許されるだろう。結果が出ているからね。以前に話した、易経のいう『亢竜(こうりゅう)悔いあり』を覚えているかい?」

 「勿論、覚えております。登りつめた竜はあとは下がるだけ、というお話ですね」

 「よく覚えているね。まだ下がらないということは、まだ登りつめていないということなんだ。だからまだしばらくは続くよ。でも対策は簡単だよ、好き嫌いがハッキリしているから、それに合わせておけばいい」

 「振り回される事になりますが……」

 「振り回されているのはT君だけじゃない。上層部もそれはわかっているから、安心したらいい」

 「はい、かしこまりました」