IT化に伴うコミュニケーションツールの増加により、以前にも増して、人と人とのコミュニケーションの重要度が高まっています。画像、動画、テキスト文字など様々な方法でITを利用したやりとりが行われていますが、一番有効なのは、対面でのコミュニケーションです。それは今も昔も変わりません。逆を言えば、対面に強ければ、ツールにある程度疎くてもそれらを十分にカバーできるともいえます。

 ビジネスマンにとってのステークホルダーは多岐に渡ります。ステークホルダーとは利害関係者のことです。利害関係者というのは直接的なお客さんや同じ部署の人だけを指すのではなく、例えば、会社の清掃をしてくれているおばさんも広義のステークホルダーと見ることができます。掃除のおばさんとどのような利害関係にあるのか、と疑問に思われた方もいるかもしれませんが、掃除のおばさんは実は関連会社の社長の遠縁だったり、部長と仲良く話せる人だったりするかもしれないのです。

 対面に強くなるためには、どのような場面、どのような人に対しても油断は大敵と心得ておくべきでしょう。

 すべての人に目配り、気配りをしていたら、とても身が持たないよ、と思われたかもしれませんが、一つずつ分解して見ていくと意外と気疲れしないことを知ることができます。また、優先順位もありますから、その優先順位を考えて行動すれば、うまくやっていくのは実は簡単だ、と華僑たちは言います。

 世界のお金儲けの代名詞となっている華僑たちがよく口にする言葉に、「ずるい=賢い」「賢い=ずるい」があります。ずるいことをするなんて、と思いますが、彼らの表現するずるいは少し私たち日本人の考えるずるいとは違います。相手を操るという意味でのずるいを指す場合が多いのです。先回りして待っておく、という表現が近いかもしれません。なので、本コラムはその先回りをしつつも、周りのためにずるさを少しだけ使いましょうということで「ずるゆる」なのですね。

「悪徳上司」は、わざと調子に乗せるが勝ち

 ビジネスパーソン人生において、多くの人が辛いと感じるのが、自己の利益しか頭にないような「悪徳上司」の下についたときではないでしょうか。ですが、悪徳上司は変に気に入られると後々面倒なことも考えられますので、気に入られる必要がない分、先回りして操るにしても、比較的簡単な相手だといえるでしょう。

 そもそも悪徳上司というものはなぜ、存在するのでしょうか? それがわかれば、操るのは簡単になります。

 『宋名臣言行録』に「薫蕕雑処(くんゆうざつしょ)せば、終に必ず臭にならん」という言葉があります。直訳すれば、「香りの良い草と臭い匂いの草を一緒にしておけば、臭い匂いが勝つ」となります。何を言わんとしているかというと「善人と悪人が一緒にいれば、悪人が勝つ」ということです。

 理不尽な話ですが、華僑の師はこう言います。「必ずではないけれども、聖君と暴君だったら暴君が勝つ。立派な上司と悪徳上司だったら、悪徳上司が権力を握る。それはある意味、自然の成り行きです。しかも悪徳上司はなかなかしぶとい。でも最終的には滅びるんです。紂王はその典型ですね」。

 殷王朝最後の王、紂王は頭がキレて、腕もたつ傑物でしたが、己の才能に驕り、臣下の諫言も聞き入れず、酒池肉林にふけるなど欲望むき出しの暴君として知られています。とてつもない暴君でしたが、紂王の栄華は長く続きました。