そこでTさんはG課長を飲みに誘っておごることにしました。「G課長、最近、仕事ばかりで顔色があまりよくないですよ」。

 Gさんは「だよね。自覚はしている。でも、残業代も出ないし、この調子だとボーナスも下がるだろうね」と無下に断るようなことはしませんが、金銭的に厳しいのがわかりました。

 「G課長、いつもありがとうございます。実は私、微妙な店を見つけたのですよ。ビールは冷えていて悪くないのですが、料理がいまひとつ判断できないのです。実は今度、同窓会の幹事をするのですが、その店を使っていいものかどうか、G課長にご判断、もしくはアドバイスをいただきたいので、ご一緒していただけませんか?」

 「おお!? でも忙しいしね」とGさん。明らかに行きたいけれども、部下に頼られた手前、お金の話をしづらいのは予想通りです。

メンツを立てておごる

 すかさずTさんは、「G課長、実は幹事経費で出費なしで行けるのですよ、時間何とかお願いします」。

 「わかった、しょうがないなあ。時間を作るから君も早く仕事を終わらせるように」。心なしかG課長の顔が明るくなったのがわかりました。

 G課長と一緒に飲みに行き、お酒が進むと、実は仕事以外にも悩みを抱えていることがわかりました。義理のお父さんが亡くなり、遺産相続で奥さんが兄弟で揉めている、ということを聞かされたのです。

 Tさんは会食を終え自宅に帰ったら早速、ネット通販で「遺産相続」関連の書籍を数冊購入。後日、Gさんにそれを渡し、「参考にされたらどうですか?」と何気なく机においていきました。

 G課長が、次の人事異動で課長補佐を選ぶときに、Tさんを外すことはないでしょう。

 ずるゆるマスターのTさんの素晴らしいところは、Gさんに負担感を持たせずに、うまく誘ったところです。幹事経費など聞いたことも見たこともない人は多いと思います。当然です、そのようなものはなく、TさんがGさんのメンツが立つように誘うための方便だったのです。

 上司、先輩におごることによって、気分よく仲良くなれるチャンスをつくるばかりか、思わぬ情報もゲットできる確率が高まります。

 お金は使うためのものです。あなたもずるゆるマスターになって、お金の使い方の達人になってみませんか? お金を増やす方法を学ぶより、生涯所得は増えるはずです。